豆腐小僧双六道中ふりだし

【本朝妖怪盛衰録 豆腐小僧双六道中ふりだし】  著:京極夏彦  講談社

妖怪豆腐小僧がアイデンティティーを捜す!?
「なぜ、手前は豆腐を持っているんでしょうか?」自己の存在理由、存在意義にうすーく不安を抱く小さな妖怪が数々の異種妖怪に出会い、「世間」を知る立志篇!


 軽妙だ(笑)
 京極夏彦って重厚な文章だけじゃなくて『どすこい』みたいな軽妙な語り口も自在にこなすから凄いんだよなあ。
 妖怪という存在に対しての定義は『京極堂』シリーズや『巷説百物語』と同様の、所謂理解できない未知の現象を具体的な形に具象化する事で理解の範疇に置く為の存在(合ってる?)なんですが、面白いのがそれを古本屋でも小股潜りでもなく、当の妖怪によって語らせているところ。鳥頭の豆腐小僧を聞き役にして、様々なパターンで創造された妖怪たちが己の成り立ちと存在意義を語っていくのですが、冒頭に書いたように語り口は軽妙で、ポンポンとリズム良くドタバタ劇を見る感覚で楽しくスルスルと読み進めていけます。楽しい楽しい。
 それでいて、京極夏彦お得意の憑き物落としもちゃんとあり(笑)、最後にバラバラに思えた出来事が一気に収束して綺麗に片付くという手法も見事に完成しております。
 京極ファンなら必見。