ブルー・ハイドレード 〜融合〜

【ブルー・ハイドレード 〜融合〜】  著:海原零  スーパーダッシュ文庫

ついに登場!? 
 『フルメタル・パニック!!』に続く、美幼女潜水艦長もの!(違


 ちょーっとどうかな、これは。
 個人的な趣向かもしれないけれど、地の分の切り方がなんだか癇に障ってしまうようです。『銀盤カレイドスコープ』では確かこういう書き方はしていなかったと思うので、今回から試してみたのか、それとも三人称にするとこうなってしまうのか。
 私がこの作家のナニが好きだったかというと、評判のフィギュアスケートの描写ではなく、主人公の豊かな感情表現の演出、外面と内面が複雑に絡み合って互いに作用している様子を描く筆力、傲慢で高飛車で鼻持ちなら無い攻撃的な性格と女性らしい優しさと繊細さを見事に融合させた心理描写でした。
 ところが、今作では私を虜にしたこの作家の手腕がまるで見られないわけで。多分、八人もの人間を並列に動かす群像劇にしてしまっているために、一人一人を深く描くだけの余裕がなかったんでしょうが、この人の場合、一人に焦点を当ててそこからじっくり視線を広げていく方が合ってるような気がするんだけど。とにかく、今回は急ぎ足でパーっと終わりまで辿り着いてしまった印象。
 ただ、まだ第一巻は導入編という形ですし、気合入れて長編大作にするんだったら、一人一人を内面からじっくり描いて魅力を引き出すことも出来るでしょうし、そうなると面白くなる要素は充分にあると思うんですけど。
 いっそ『亡国のイージス』みたくハードカバーの上下巻編成くらいの分量を与えたら、凄い作品を仕上げちゃったりもしそうな気がするんですけどね、海原さんて。