嬉野分が足りてない!!

シャイニングウィザードシリーズが終わってしまい、しばらく月日が経ったのだがどうも居心地が悪い。考えてみると、現在進行で購入する嬉野秋彦氏のシリーズがなくなっているじゃないか!!
月刊嬉野、とか勝手に呼んで、ほとんど毎月のように発刊される著作本を嬉しい悲鳴をあげながら買い漁っていたというのに、いつの間にかなんという始末。

というわけで、第一巻を買って以降、予算の関係上や趣向の偏差を鑑みて購入を後回しにしているうちについつい買い忘れていた
【蘭堂家の人々】
を一気買いした。
読んだ。

ああ……まあ分かっていたことだが。
やっぱり私、この人の書く話、めちゃくちゃ波長合うらしい。
読んでて楽しい面白い。
つまるところ――好きだわーーー。

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 基本的に私は一人のやわい少年を、たくさんの女の子がちやほや囲んで云々、というハーレムものは苦手である。
 いや、一概に苦手ってわけじゃなくて、モロに嵌まったりニヤニヤ楽しめるシチュもあるんだが、これが一方的な奉仕の関係だとどうも楽しからざるわけでして。
 んで、これも一巻目を読んでみて、そういう話の傾向だったのでまあ後回しにしたんだが。
 題材ってのは、しょせん題材であって出来上がる作品の面白さには関係ない。ようは作家の腕次第。というのは毎度毎度、色んな作品を読むたびに思い知らされる。
 元来の、母親の分身という存在定義を踏み越えて、段々と一人の独立した女の子として自己を成長させていくアテナ。そんなアテナに引き摺られつつ、設定された性格からアテナのように翔太との関係を立脚できず葛藤を深めていくフェイ。
 単純に主人公好き好きな女性たちにモテモテ、という形ではなく、家族という関係性に重点を置いて描かれているため、他にも女性陣が何人も登場するのだけれど、これが意外なほどハーレム的な匂いが感じられないので、読んでてストレスを感じない。
 元々の嬉野氏の恋愛模様の描き方も、この味付けに一味かってるんだろうが。この人は実にあっさりさっくり風味だからなあ。かといって単に味が薄いわけじゃなく、コクがあるんで非常に印象に残るのだ。シャイニングウィザードの善ノ介とムジカのなんとも表現しようのない関係は、他では見ることのない独特のものだったし。
 と、思えばチキチキの鳳月くんのようにこれぞ恋する男の子、というような今時気恥ずかしいくらい、でもだからこそ大感動のとびっきり真っ向勝負の話も書くわけで。
 それらに比べると、蘭堂家のフォーマットはベタもベタベタなベーシックスタイルなのだけど、やはり書く人の個性なんですかねえ。
 それにしても、以前は恋愛に関連する話なんて1エピソードですら殆ど書かなかった人なのに、ここ数年で傾向変わってきてませんかねえ。や、あたしゃコイバナはどんどん入れてけれ、という趣向の人なので大歓迎なのですが。時代の要求なのですかねえ、そういう。

 一押しは誰がなんと言おうと『ザビーネ』。
 日向絵師によるあのおでこはスバラシイ。繰り返して力説するぞ、素晴らしい!
 というかヒルダやトーマ。ハーゲンやフランケンなどの『友愛団』の面々もお気に入り。
 彼らは明らかにこの物語のもう一方の主人公になってるんじゃないだろうか。第一部が終わってから、実質翔太たちのサイドとザビーネたち友愛団サイドの両輪構成で話が展開しているようにも見える。
 うむ、こうして考えてみると、この友愛団サイドの物語視点があるから、蘭堂家が事件に巻き込まれる展開が単調な日常と非日常の交換作業に陥らない、とも受け取れるな。
 なんにせよ、最初期の敵キャラという立ち位置にも関わらず、味方サイドに移ってからのザビーネたち友愛団の頼もしさたるや、味方になった途端雑魚と化す歴々の過去の強敵サマとは格が違う。
 自分達の方も色々と大変で忙しいのに、常日頃から翔太たちの日常生活をバックアップし、いざ翔太たちに危機が迫るや、すかさず支援・救援を送り込み、時には影から、時には隣に立ち、時には敵前に立ち塞がって翔太たちを助けてくれる。うむむ、お助けキャラというにも頼もしすぎるぞ。巻を重ねるごとに、戦力も着実に強化させてるしな。
 なによりザビーネたちと、翔太たちを繋げている絆が、やはり『家族』であるという繋がりであることが、読んでいてなんとも心地いい。いちいち、誰も口に出して確かめるようなことをしないのも良い。お互いに利用しあっているのだ、とかなんとか双方言ってるくせに、実際はすごく自然なこととして、お互い助け合ってるしねえ。まああれだ。家族や友達がたいへんなとき、いちいち助ける理由なんてものを必要としていない、てな感じなわけだ。
なんだかんだと、温かい話である。