Landreaall 9 (9)

【Landreaall 9】 おがきちか

もう、どうしたらいいんだろう。こんな素晴らしい作品がこの世にあっていいんだろうか。
クラクラする。
とんでもない多幸感。なんかもうね、オレはこれを読むために生きてきたんだー、っていう本が人間、なにかしらあるもんなんだろうけど。漫画に関してはもう、出会っちゃったなあ。出逢ってしまったわけだ。なら仕方ない。諦めよう。
幸いにして、この作品はまだ完結してない。
この話が完結するまでは絶対に死ねない、という文句はよくあるんだろうけど、もうね。これほど面白いと、逆に完結してしまう前に死んでしまいたいとすら思いたくなってくる。この話が終わってしまった後のことが、この漫画の読了直後のこの酩酊状態だとちょっと想像できない。めぞん一刻の管理人さんじゃないけど。

今回は、ようやくお見合い相手が判明。これはちょっと意表を突かれた。そう来たか!! ただ、このオチは次のステップへとすれば、最高の形じゃないか。
エクセレント。
初っ端に思いっきり盛大に大失恋をやらかしたせいか、これまでDXには恋愛模様どころか女っ気すらもなくって、ひたすら初めて出来た友人たちとの友情のドタバタというか駆け引きみたいな話で進んできたんだけど、ここで一気にメイアンディアの存在が際立ってきた。
いや、ここまでDXとのツーショットが映えるとは。
……恋に落ちました。

一方で、父親の急逝によるリドの継承問題もここにきて顕在化。
今回の見所はこれまで舞台袖をうろついていたメイアンディアが舞台にあがってきたところにも思えますが、多分ここでしょう。
相談役との会話シーン。
ゾクゾクした。ゾクゾクした。ゾクゾクした!!
「DX、王様になったら友達を作るのは難しいぞ」
この言葉面から思い描く意味とは一味も二味も違う意味を込めて、相談役はDXに忠告する。
したいようにしろ。リドの気持ちを思い、リドのことを思って言った言葉。自由を自覚させる言葉。
でも、相談役はDXの思い違いを指摘する。
淡々とした事実と結果の羅列。だが、これほど辛辣な弾劾はないだろう。

「いい教訓になっただろ?」
「教訓?」
「君は案外王様にむいてるってことさ」


ああ、まさに。そういうことなんだろう。
DXはあまりに器が大きすぎるきらいがある。
自由奔放で気紛れで規格外でありながら、場を慮り、人の気持ちを慮り、大切なものを大切にすることができる。とてつもなく魅力的で優しく強い素敵な男だ。でも、だからこそ、究極的な部分でひどく傲慢なところがある。
それは決して悪い傲慢さじゃないと思う。ただ、DXは自分のそういう部分をもう少し自覚するべきなんだろう。今回の齟齬は、結局のところDXが自分の価値や影響力――それもレッテルや看板としてのものではなく、彼という人間が持つカリスマ性に対して、あまりに無自覚で無頓着であることから生まれたものなんだろう。
しかし、それを自覚し成長するということは、傲慢さを消し去るということには繋がらないわけで。むしろ、より王様としての資質を高めていく形にしかならないはず。
ただ、うん。そうだな。ここでのイオンちゃんの存在感の大きさたるや、瞠目に値する。彼女が傍にいてDXのことを蹴っ飛ばしてくれている限り、DXは小さくも変質もせず、それでいて何一つ喪うことはないんじゃないだろうか。
いつだって、DXが迷い、在り様に困惑したときに、霧を吹き飛ばしてくれるのがこの元気イッパイな妹なわけだ。
ああ、イオンはいいなあ。彼女は本当に素晴らしい意味でシンプルだ。この世の複雑で意味深な世迷言を、一発で整理してくれる。
相談役との討論の後だからこそ、イオンの一言はより映える。
あの兄DXだからこそ、消化できるんだろうけど。

DXやイオンをはじめとする奔放で楽しいキャラたちによって織り成されているこのランドリオールという作品世界は、だけれど思いの他繊細な関係性で成り立っている。人と人とのつながりは、まっさらなままではいられない。夢のような世界でありながら、世界を構成する骨組みは淡々として酷薄ですらある。
これまでも、場面場面でうわべを支える裏側のモロさは垣間見せられていたけれど、今回はとうとうそれまで自分だけは無関係とばかりにわが道を行っていた主人公DXにも降りかかってきたわけだ。
彼は失敗した。それを失敗とは決して言えないだろうけれど、DXは間違いなく自分の過失だと判断したはず。
でも、DXが赴くのは自分の過失を取り戻すためじゃない。それは、イオンに怒られ、正された。
イオンに怒られてやるべきことを理解したときのDXは、
まあ……無敵であろう。
次回は、スカッとした話になるだろうか。どうだろうね。
五十四さんが心配だけど。眉毛。