神様のおきにいり〈3〉ぬれおんなの巻
【神様のおきにいり 3.ぬれおんなの巻】 内山靖二郎/真田茸人 MF文庫J

【吉永さん家のガーゴイル】や【我が家のお稲荷さま】などに代表されるちょっと不思議な生き物たちとのほのぼの日常コメディ、なジャンルに属する一作だけど、その中でも去年始まったシリーズとしては出色の出来。
こと、妖怪や神様という人間とはどこかが決定的に【違う】モノたちの【違う】部分を描くことにかけては注目に値すると思います。話自体がドタバタコメディなだけに、合間にひょいっと釘を打つように突きつけてくる人と人外との【違い】には、たびたびハッとさせられました。普段がボケボケなくらいに主人公たちと妖怪たちがワイワイガヤガヤ仲良くやっているだけに、相容れない部分をわりかし遠慮なく突きつけることで、コメディ作品でありながら、どこかビシッと締まった感じがしているのです。
非常に好感が持てるのが、というかこの作品で私が好きな部分なのですが、そうした相容れない面を容赦なく突きつけながら、主人公を通じてその相容れない面、彼らが本質的にオソロシイ存在であることを否定せずに認めながらも、それを踏まえて彼ら妖怪や神様と付き合っていこうとしている部分。
突きつけておきながら、突き放すことなく、非常に真面目に難しいテーマに取り組んでいるんですよね。それでいて、肝心のコメディ部分を蔑ろにせず、そちらのクオリティも巻を重ねるごとに高めてきている。
タイトルのもじりじゃないけど、今のところ私のかなりお気に入りな作品です。本年度の注目作。

また、本文中の挿絵でもとても面白い試みがされてて、ページを捲った際にはかなり「おおっ!?」と驚かされた。こりゃ、いいわ。挿絵に関しては色々と試みているライトノベルを見てきたけど、この手のアイデアははじめてなんじゃないでしょうか。

キャラも、巻を重ねるごとに味が出てきて、好香さんなんか最初なんか頭からっぽで色気だけのお姉さんみたいな感じだったのに、この三巻なんか読んでると所々でするっとさり気なく含蓄のある言葉は深い思慮に満ちた意見を述べてて、軽いながらもなかなか侮れない人物になってるし。
まあ、この【神様のおきにいり】でぶっちぎりに人気を勝ち取るのはコヒロだろうけど。あの無口で無表情キャラである一方で物凄い素直で突拍子もなくて考えてることがわかりやすいキャラ、というのはもう勝ち組に決まってますがな。というか、このコヒロというキャラの描き方はもう芸術に近いと思われ。