ハカナさんがきた!

【ハカナさんがきた!】 織田兄第/みづきたけひと

あ……りゃりゃりゃ? これ、面白い……よ?
ある日突然主人公のもとに見知らぬ女が現れて、というあまりといえばあまりに定型なテンプレに、あんまり期待を持たずに読んだのですが。
やー、うん。面白い。面白いと思う、これは。
ストーリー展開はオーソドックスもいいところ、特に目新しい内容や凝った設定もなく、キャラクターも独特な人はおらずこれといった特徴的な人物もいない。
はっきり言って、かなり地味な作品じゃあないだろうか。
だがしかし、言い方を変えればこれって『質実剛健?』。そつがないというか、文章やキャラの造形という土台がしっかりしているというか、巧いというか。
読んでてこう、何かしら飽きがこずにクイクイと先を読まされる。こう、痒いところに手の届くようなささやかな充足感。
スナック菓子だと思って食べたら、スルメイカだったみたいな? 歯応えがあったというところで。

ラストはわりと意表を突く展開で、むしろこの一巻を序章の導入篇と考えるとこの後のストーリー展開がどうなるかは非常に興味をかき立てられる。こりゃあ、さらに面白くなる要素たっぷりなんじゃないだろうか。期待期待。

幼馴染属性者として、幼馴染は家族ぐるみの付き合い有りが良のこと、というのが持論なので、幼馴染キャラの由宇とその家族(特にオヤジ)と主人公の交流は、これは好きだなあ。オヤジさんの主人公に対する男らしい可愛がりっぷりは、正直こういうの大好きです。
主人公も幼馴染の由宇もメチャクチャなところが一切ないびっくりするぐらいの良識人というのが、この作品の地に足が着いた感じに繋がってるのかなあ。
ただちゃんとポイントゲッターとして由宇の妹の奈々が無言で存在感を出しまくってるので、その辺も何気に隙がないし。
敢えてハカナさんという主人公の日常生活への乱入者の立場を、単純に主人公に好意を抱くヒロインキャラにせず、ああした形にしたのも、わりとうまいこといっていると思う。
ハカナさんの正体のお陰で、話が温い落ちモノにならずに済んでいるし、あの正体のお陰でラストと次巻以降の展開がどうなるのか、意外と簡単に予想できないものになってるし。
うん、これは予期せぬ良作でした。って、これで続巻出なかったら怒るぞ、うぉい。