女子高生、リフトオフ!―ロケットガール〈1〉
【ロケットガール 女子高生、リフトオフ!】 野尻抱介/むっちりむうにぃ 富士見ファンタジア文庫

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 いや、いや、いや、待って、ちょっと待って。
 私、どうしてこれスルーしてたの!?
 ていうか、なんでこれが絶版なってたの?
 やッばい。なにこれ。すっげーーー面白いよ!!!
 宇宙! 宇宙! 宇宙!
 いやいやいや、っていやばっかりだけど、いやいや、こりゃあ幾らなんでも荒唐無稽が過ぎるわな。ところが、呆れたことに根底・基盤・基部・土台となる部分はイヤんなるほど現実に基づいているものだから、荒唐無稽な部分が馬鹿馬鹿しいと白ける方向ではなく、胸がスカッとするような爽快感、高揚感へと科学変化を起こしてしまう。
 鉄板ガチガチのSFのくせに、呆れるほどのエンタテインメント。
 だって、冒頭のゆかりが宇宙飛行士になっちゃうところから、ありえねーって(笑
 ところが、これが理に叶ってる。いや、叶ってるのか、これ。冷静に考えると、どう考えても問題の一点突破ばかりに気をとられて、みんな理性失ってるって(苦笑
 滾るような情熱、怨念めいた宇宙への想い。宇宙飛行士や宇宙開発に纏わる物語には、これら人間が極限まで研ぎ澄ましたような情念がとぐろを巻いて渦巻いているものだ。
 ところが、ここに登場する人物たちは非常に軽い。少なくとも、文章上から読み取れる部分に、そうした火傷しそうな、一度踏み込んだら抜け出せない底なし沼のような情念は見て取れない。
 主人公のゆかりからして、本人、まったく宇宙飛行士になろうなんて思ってなかったのだから。
 それどころか、宇宙に飛び出す直前まで、彼女は宇宙に対しての情念を抱いていない。熱望もない。焦燥もない。呪詛も憧れも幻想も抱いていない。
 状況が先にあり、流されるまま先に向かい、最後に確固と意志を持つ。
「まあ、こうなったら仕方がねえ。いっちょ行ったるかー」
 とまあ、こんな風に腕まくりして掛かって来い、みたいな具合である。
 彼女にあるのは願いではなく、単純に行ってやるという『意志』。
 まったく、これがすこぶる爽快なのだ。
 これが執筆された時期を思えば、これはその当時の時流に合わせた実に真っ当にライトノベルであろうとしたSFなのだろう。
 だが、一切迎合はしていないあたり、これは作者にとっても一つの会心の作品だったのではないだろうか。
 快作にして、傑作である。