いぬかみっ! 12 (12)
【いぬかみっ! 12】 有沢まみず/若月神無 電撃文庫
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こりゃあ、もう芸術的だなあ(感嘆
11巻でもそうだったのだけれど、この12巻における仮名さん主役の中篇は、コメディとしての一つの極じゃないでしょうか。
この誤解と勘違いが積み重なり、偶然に偶然が重なって、事態が加速度的にわやくちゃになっていく展開は、三谷幸喜の舞台脚本を連想させる。
お見事。これはただのノリと勢いでは絶対に書けない。非常に細やかな計算に基づいた、精緻な芸術品と呼べるものである。もし、これを深く考えずにノリと勢いだけで書いてるのだとしたら、それはもう天才の御業という他ない。
しかし、この人も完全に自分の作風というのを確立したなあ。たとえ、作者の名前が伏せられていても、一読してすぐにわかるであろう余人に真似できない独特の作風。実際の真価は、いぬかみ。とは違う新作・新シリーズを書いたときに分かるんだろうけど、本当に続きを読むのが待ち遠しい作家になりました。
成長といえば、ようこの女としてのスキルアップには目を見張るものが。冒頭の女同士の駆け引きは、あれ上手いこと書いてるなあ(笑
やってることはハーレムものにありがちな、女同士の男の奪い合いなんだけど、この書き方が素晴らしいのなんの。なんで、こうも手に汗握らにゃならんのか。読んでるこっちまで熱くなる激烈な心理戦。
最後のようこの鮮やかな勝利には、思わず喝采。
ものは書きようですなあ、ほんとに。
手に汗握る攻防といえば、最終編の古城の精霊とのチームバトルは、尋常でない盛り上がりで。燃える燃える盛り上がる、大興奮。
この辺、完全に読者のモチベーションをコントロールし切ってますわ。この作者の手のひらで踊らされる心地よさときたら。
そろそろ物語りもクライマックスに向かっているようですが、最後までこのテンションで走りきって欲しいです。
あー、面白かった。大満足。