モノケロスの魔杖は穿つ 2 (2)
【モノケロスの魔杖は穿つ 2】 伊都工平/巳島 MF文庫J
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 こいつは、統制された大暴走だ(笑
 もう、これはロジックに乗っ取ってさえいればOK、常識なんざうっちゃってしまえ、という開き直りの感すらある。拡大解釈もここまで来てしまうと、いっそ清々しいくらい。本来なら、理論上出来ることと、実際現実問題に出来ることととの間にはそれこそ織姫と彦星が指を咥えて見詰め合うほどの何百万光年もの隔たりがあるはずなのだが、その辺をまったく意図的に無視してやってしまうと、こういうことになるわけだ。
何を言っているのかよくわからないと思うが、実際に中身を読んでいただければ自分が何を言いたいのか、ニュアンスぐらいは伝わるのではなかろうか。
本州ぱーーんち!
本来ならかなりギチギチに窮屈で制限も厳しいであろうカバラのセフィロト大系を、よくぞここまで拡大解釈したものである。素晴らしい。もっとやれ。
 しかしこれ、一見すると荒唐無稽なのだけれど、意外にも読めば読むほどロジックを重視しているのが見て取れる。世界観の構成、キャラクターの行動原理、ストーリーの転がし方。なんに関しても、まず理を重んじているわけだ。理以外は完璧にうっちゃってますけどねっ!! むしろ屁理屈に近いかもしれん。素晴らしい。もっとやれ。
 中でも面白いのが、主人公だな、これ。こいつのこの底の知れなさはちょっと想像の埒外だった。思いの他、この男は得体が知れない。掴みどころがなく、心底が読みきれない。この物語で誰が一番ラスボスっぽいかというと、私ならイの一番にこの主人公の名前を挙げますな。
他の登場人物も、それぞれ各々に確固とした、でも独特の思考パターンというのが確立してあって、なにかとそれが面白い。あまりに確固としすぎてて、ある意味偏屈な連中の集まりにも思えるのだけれど、他人が自己をすり合わせ、ぶつけ合い、ガチガチと鳴り響く衝突音というのは、物語を読む上でこの上なく楽しい旋律であり、このモノケロスが奏でる旋律は、奇妙にすっ飛んでいて、まったく面白くて仕方がないわけだ。
ゲテモノ趣味というなかれ。そう、味があると言ってくれ。