陰陽ノ京 巻の5 (5)
【陰陽ノ京 巻の五】 渡瀬草一郎/酒乃渉 電撃文庫
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実に四年ぶりとなる陰陽ノ京の新作。
まさしく感無量。
好きなシリーズの続きをまたこうして読めるというのは、本当に嬉しいものなのです。ページを開けば、あの懐かしい物語の空気が流れてきて、懐かしいキャラたちがかつてと同じように動いてる。
ああ、身体の芯から震えが湧き出してきます。
またこの【陰陽ノ京】を読んで再認識。私、渡瀬さんの作品ではやっぱりこの【陰陽ノ京】が一番好きだわ。

今回は吉平の母親で清明の奥さんで蘆屋道萬の娘である梨花さんが、あらゆる意味で大活躍。わりと抑制の効いた落ち着いた人物の多いこの作品をして、この梨花さんは一際天真爛漫として明るい人柄で、好きなんだなあ。とはいえ、今回の話は梨花さんを中心に据えながらも、初登場の阿倍家次男の吉昌の境遇と合わせて、純真無垢で世間知らずな時継に人の親となる事への凄さと素晴らしさとを教授するような内容でしたなあ。子供を作り、育てることへの重みを知る。ふむ、保胤が時継が何も知らない童と思って躊躇っているうちに、彼女の方は着実に一人の女として成長している模様。
あらゆる意味で、段々と外堀が埋められていくのが、ちょっと笑えますw
女性関係にとんと鈍い保胤と比べて、吉平の方は相変わらず手練手管が凄いなあ、と。貴年、もう完全に墜ちてるよ(笑
吉平くん、普段は生真面目で素直な少年なだけに、貴年にだけ見せる女殺しの顔と口説き文句の嵐は、物凄いインパクトなんですよね。何気にオヤジの清明よりも、底知れない。
と、今回吉昌とともに初登場なのが、阿倍清明が従えたという式神・十二神将の一人、天一。自宅に住まわせていた式神を清明の妻が嫌がったので、清明は式神を一条橋の下に住まわせた、なんて話があるわけですが、なるほど、こういう仕立てにしてきましたか。
しかし、となると天一以外の十二神将は存在自体してなさそうだなあ。

物語は、これまた懐かしい【陰陽ノ京】らしい話で。空鐘もいいけど、勇躍勇んだ話より、渡瀬さんはこうしたしっとりと落ち着いた、人の生き方や心の業と移ろいを描いた優しい澄んだ話が抜群に上手いと思います。
決してド派手な展開にはならないけれど、本当に、このシリーズは読むと心が落ち着くんですよねえ。
次は、早めに出して欲しいところです。いい加減、私も二人の子供が見てみたい(マテ
いや、それよりも吉平君が宣言どおり貴年を貰っちゃうあたりを見てみたいところではあるのだが。まあ、何年でも待てますけどねw