ガンパレード・マーチ山口防衛戦
【ガンパレード・マーチ 山口防衛戦】 榊涼介/きむらじゅんこ 電撃ゲーム文庫
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その心は闇を払う銀の剣
絶望と悲しみの海から生まれ出て
戦友たちの作った血の池で 涙で編んだ鎖を引き
悲しみで鍛えられた軍刀を振う
どこかの誰かの未来のために
地に希望を 天に夢を取り戻そう
我らはそう 戦うために生まれてきた

それは子供のころに聞いた話 誰もが笑う
おとぎ話
でも私は笑わない 私は信じられる
あなたの横顔を見ているから
はるかなる未来への階段を駆け上がる
あなたの瞳を知っている

今なら私は信じられる
あなたの作る未来が見える
あなたの差し出す手を取って
私と一緒に駆けあがろう
幾千万の私とあなたで
あの運命に打ち勝とう
どこかのだれかの未来のために
マーチを歌おう
そうよ未来はいつだって
このマーチとともにある
ガンパレード・マーチ
ガンパレード・マーチ

オール ハンデッド ガンパレード!
オール ハンデッド ガンパレード!
例え我らが全滅しても、この戦争、最後の最後に男と女が一人ずつ生き残れば我々の勝利だ!
全軍突撃! どこかの誰かの未来のために!


と、思わず突撃軍歌を喚きたくなる、榊涼介版ガンパレード・マーチ最新作!!!
九州撤退戦を契機に一旦終了と相成ったと思われていた榊版ガンパレード。幸いにしてガンパレード・オーケストラの小説版が出ていたので、この流れで榊版ガンパレは続いていくのかと思っていたのだけれど。
なんと、5121小隊が主役のシリーズがもう一度帰ってきたのですよ。これでもう、完全にゲームシナリオの範疇を飛び越えて、秘めやかに語られ続けていた裏設定群をベースとした榊オリジナルへと突入しましたがな。
見た。読んだ。跳ねた。
さいっこう!! おっもしれぇぇぇ!でした!

幻獣軍によって九州から完全に追い出された人類。撤退する友軍を援護して獅子奮迅の働きを見せた5121小隊も、何人かのメンバーが隊を離れて待機状態に。
海軍に戻った善行司令の代理に瀬戸口が収まったのは、意外だけど納得だわなあ。善行が抜けて舞もぽややんと一緒に別行動となると、あのメンバーでは小隊をまとめられるのは瀬戸口ちゃん以外にはちょっと考えられない。と、そう考えてしまう人間にあの瀬戸口が成長してしまっているのが、榊版ガンパレの面白いところ。最初はどいつもこいつも問題児にへなちょこばかりだったのにねえ。でも、戦争による成長ってのは決して健全なものばかりではない、というのをこの話では冷徹に描写する。いい感じに人間的な成長を遂げている人もいるけれど、原さんや速水のように津々と狂気を膨らませている人もいる。まあ、原さんも速水もその狂気を上手いことコントロールしているわけだけど、そろそろまともな人間には戻れなくなってるし、健全とは言いがたい。原さんの壊れかけな描写は、かなりゾッとするようなものでしたし。あれほど余裕のない善行さんは熊本でも撤退戦でも見なかったんじゃないかな。

そして、自然休戦期にも関わらず、突如奇襲敵に本州への上陸を始める幻獣軍。予期せぬ上陸に混乱する自衛軍。元より戦場だった九州と違い、山口はいまだ一般人が日常を過ごすフィールド。戦闘は、初っ端から九州撤退戦を想起させるような激烈かつ悲惨なものへと激化していく。
そして、瀬戸口指揮の下激闘を繰り広げる歯抜けの5121小隊の元へ、バラバラになっていた面々が戻ってくる。
ヒーロー集結の巻である!
再び幻獣軍の前に立ち塞がる伝説の小隊5121小隊! てなもんだ。
燃えるぜ。
とはいえ、この榊版ガンパレでは戦争をしているのは5121小隊だけではないのである。無数の名もなき将兵たちが、脱出する市民を援護するため奮闘する。数十万を越える幻獣軍に、5121小隊だけで立ち向かえるわけではない。
瀬戸口が壬生屋を諭すように、戦っているのは5121小隊だけではないのである。
名もなき戦士たちの戦い。これもまた、燃える!


今回は見開きに、オリジナルキャラのイラストが。荒波司令、めちゃめちゃナイスミドルだなあ(笑
ああ、この娘こんなデザインだったのかー、と付き合いも長いので色々と感慨深い。何気にオーケストラのキャラデザインより力入ってるような気がするのは気のせいだろうかw
しかし、納得いかんのが我等が島村さんのイラストがないことだにゃあ。島村さんは一番古参のキャラなのにー(涙
今回、登場がないのかと思ったら最後にさらっと現れるし。泣き言ばかり漏らしながらも、登場人物のなかで一番この人がしぶとそうなのよねえ。しかも、しっかり周りの人間を守りつつ。