土くれのティターニア 2 (2)
【土くれのティターニア 2】 増子二郎/溝口ケージ 電撃文庫
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興味深い事に、作家の中には追い込み型というタイプが存在する。有名どころをあげるなら【Dクラッカーズ】や【BBB】のあざの耕平氏などがこれに該当するだろう。
これ、どういうタイプなのかといえば、シリーズの後に行くほど加速度的に面白くなっていく人を言う。エンジンの掛かりが遅いなんて言い方もされるけど。
なんで最初からぶっとばせないのかと思うこともあるだろうけど、こればっかりはそれぞれの特性ですからねえ。思うに、話の書き始めだとまだその作品のキャラやストーリーが作家の筆に馴染んでないのではないでしょうか。そのため、最初はどうも手探り感が漂い、キャラの言動もぎこちなく、ストーリー展開もどことなく堅苦しい。
ところが、一旦その作品の書き方を掌握すれば、そのキャラの性格や行動論理を把握すれば、途端作品そのものに躍動感が漲りだす。
前置きが長くなった。
この増子二郎という人も、あざの氏ほど極端ではないもののこのタイプだと私は思う。振り返ってみれば、前シリーズの【ポストガール】も書けば書くほど作品世界に彩色が広がり、登場人物たちの造形に瑞々しさが迸り、話の展開に深みと弾みが生まれている作品だった。
この【土くれティターニア】も、二巻になって明らかに読後の満腹感、満足感が増している。端的に言って、グググイっと面白くなってるのだ。
主人公の大賀くんのどこか淡々とした性格は、一味加わり惚けた妙味のあるものへとステップし、やや堅すぎる感のあったヒロイン明日香の性格にも、話が進むことで徐々に変化が生じ始め、女の子らしい魅力が花開きはじめている。さらに、脇を固める面々の掘り下げも順調に進み、最初は大賀くんと明日香の二人の区切られていた世界がどんどん広がりを見せ始めている。
この感覚、物凄くいい。上手くすれば、ここからドカンと爆発的にジャンプできる準備が整ったような、そんなパワーを溜め込んだような圧縮感。
次巻。これ、出版側のやり方次第では電撃の第一線に加われるだけの力はある気がするんだけどなあ。
でも、根本的なところで地味っぽさが抜けないので、難しいか。いや、その地味っぽさこそがこの作品のいいところでもあるんだけど。うむー。いやいや、私はシリーズが続いてくれさえすればいいんだけど、ポストガールみたいに途中で切られたらたまらんし、それなら売れてくれってなもんだけど……売れろー(お祈り

うん、もうね。河童篇でのムリヤリな理屈捏ね回すところや、ウブメの策略への激烈な反応とか、水野の挑発に笑っちゃうほどカンタンに乗ってしまうあたりとか、前巻に比べて大賀くんに対して明日香が意識してる場面がやたらと効果的に増量しているあたりで、もう私は完敗です。
一方で大賀くんも前巻に比べて明日香にもっちょっと構って欲しくて毎回すねまくってるあたりが……正直可愛らしいんです。オマエ、スキダゾ、そういうところ(苦笑
予想外だったのが、脇キャラの充実。英田さん、ある程度もう一度話に関わってくるとは考えていましたけど、まさかそこの位置に収まるとは。
それ以上に驚いたのが、前巻では完膚なきまでに明日香に敗北した水野女史の復活。ド素人のくせに中途半端にオカルトを齧って痛い目をみた、という典型的な加害者にして哀れな被害者その1だった彼女ですが、今回、完全に変身してきましたわ。これはほんとに予想外。ものすごいイイキャラになって戻ってきたなあ。
妹分に親友に好敵手が加わって、ほんと、華やかに盛り上がってまいりましたよ。