Landreaall 10 (10)
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【Landreall 10】 おがきちか zerosum comics
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この作品はとても不思議で、多分これはおがきちかという作家特有の資質なのだろうけど、物事をあまり直截的に表現しない。登場人物たちの言葉は常に遠回しに、あるいは隠喩的に語られ、焦点とは少し輪郭のずれた位置で浮かび上がる。
親切に、わかりやすくは答えをくれない。人の気持ちも、状況も、事態の推移も、正解は明示していない。だから常に、読者は登場人物たちの言動から答えを推察することを余儀なくされる。
事実や結果を事実や結果として語るのではなく、それに纏わる周辺の思惑、過程や意図を明示することで客観的に想像力を喚起する。

そして。いや、それなのに、というべきか。
焦点そのものからずらしているにも拘らず、彼らの言葉は、想いは、ダイレクトに真っ直ぐに虚飾も無くズドンと飛んでくる。当然だ。彼らは何も、胡乱な言い回しを意図しているわけではない。思ったことを、心から湧いてきたことを思った通りに言の葉にしているだけなのだから。
誰も答えなんか知らなくて、正解はわからなくて、手探りにいつも、真剣に答えを探そうとしているだけなのだから。お互いに、分からないなりにぶつかり合いながら。そこに、読者も同じ立場で放り込まれている。
同じ舞台に立っているような感覚。飲み込まれているような至福。

まったく、なんなんだろう、これは。

このシリーズは、読むたびに震撼させられる。この作品のそこの知れなさに、器のでかさに、飲み込まれそうになって溺れそうになってる自分がいる。
そうして、シリーズの新刊を手に取る度に思い知らされるわけだ。
自分にとっての生涯最高の漫画作品を読んでるんだー、と。


竜胆を迎えに、ウルファネアに向かうDXと六甲。アカデミーに残るイオンたち。
てっきり、ウルファネアサイドに話が偏るのかと思いきや、アカデミーでも一波乱。
イオンは……凄いなあ。すごいすごいと思ってたけど、この娘は本当に凄いなあ。

「偉そうに怒ったってダメ! 私が怖いのは相手が正しい時だけだもの!」

魂ごと持っていかれそうになった。
DXが王に向いているというのなら、イオンだってそうじゃないか。
人が自分のすべてをかけるに相応しい相手に出くわしてしまう瞬間があるのだとしたら、きっとこんな瞬間なんだろう。
ただ同時に、フィルには辛い決意になってしまったなあ。あの瞬間にフィルが見つけた二つの想いは、決して両立しえないものなんだろうから。
それにしても、重ね重ねしつこいようだけど、イオン・ルッカフォートという少女は……すごいなあ。
なんかもう、この子のでっかさに圧倒されちゃった。魅入られるってのはこういうのを言うのか。惚れるというのはこういうのを言うのか。信仰に値する神様にめぐり合った聖職者ってのは、こういう気分なのかもしれない。
すごいなあ。

一方のDXの方も……ええ! パーティー編成がスゴイ事に。
DXと六甲に加わり、アンちゃんまでくっついてきて、神剣レッセ・フェールを取りに一旦故郷のエカリープに(こっそり)戻ったDXたちと合流することになったのが、意外や意外、というかまさかまさか、全然想像だにしていなかったあの人物。これは、本気で驚いた。びっくらこいた。そして狂喜乱舞。いや、この子好きだったので、あれっきり出番ないのは哀しいなあ、と想ってたんで。

五十四さんが、五十四さんが!!

狼だ。この姐さん、見てくれがものすげえ狼だ。