人類は衰退しました

【人類は衰退しました】 田中ロミオ/山崎透 小学館ガガガ文庫
Amazon bk1

はえぇ、衰退してしまいましたかーー!
でもまー、衰退しちまったものは仕方ないですねー!
今さらジタバタしてもしょうがないですし、のんびり暢気に頑張りまっしょい……てな感じで
おまいら、滅びかかってるのに緩すぎ!(笑



とまあ、人類が衰退を始めてからはや数世紀。文明は既に崩壊し、人間さまはかつての栄華の名残をなんとかやりくりしながら生きておりました。
とはいえ、あんまり生きるための必死さは感じられず、ここの人類、まさに田舎で楽隠居状態。
さすがはどこでも生きれる人間、ホモサピエンス。もはや衰退期にすら順応してしまっている感すらあります。滅びかかっているにも関わらず、こいつら滅びそうにねーなー、という図太さが(笑

主人公は人類最後の大学の、最後の卒業生。とりあえず学校は卒業したものの、農作業とか肉体労働系は大変そうでしんどそうだし、祖父のやってる国連調停官の仕事を継ぐために田舎に戻ってきました。なんせ祖父、つまりお爺さんに勤まってるくらいだから仕事も楽に違いありません!
……動機が不純以外のなにものでもありません、この人。
で、その国連調停官というお仕事。緩やかな黄昏を迎えている人間種族の代わりに地球はお任せしましたとばかりに人類の座を明け渡した相手、身長十センチくらいのコロボックル、妖精さんたちと旧人類の人間さんたちとの間を取り持つお仕事。
とはいえ、妖精さんときたら、アホみたいに高い知性と技術力を持っているにも関わらず、基本的に能天気かつ無秩序にアホなので、交流といっても異文化間交流どころか異次元との交流そのもので。
だがしかし、主人公の少女も惚けているというか思考波長が妖精と実はあんまり変わらないんじゃないか、という変わり者なので、なんとなく妖精さんたちのノリと噛み合ってしまい、というかむしろずっと主人公のターン! みたいに妖精さんたちをおちょくってませんか? みたいなノリで噛み合ってるのか噛み合ってないのかわからない箱庭的世界観でのドンちゃん騒ぎの交流が繰り広げられていきます。

とかく、妖精さんたちと主人公のボケた会話が大爆笑もの。この掛け合いはセンス・オブ・ワンダーだわなあ。余人には書けないタイプの文章。
確かに、この会話のリズムには【家族計画】や【CROSS†CHANNEL】と同じものを感じます。
というか、この主人公の時々相手の発言を逆手にとってパクッと頭から齧りつくようなコメントするところとか、黒くない黒須太一っぽいかもw

タイトルから連想するような暗く重い部分は殆ど無く、全編ユルユルのんびりと楽しめるホットケーキのような良い作品でした。
ロミオ氏の初小説ということで、楽しみにしていたのですが、予想していた方向とは全然違っていたものの、期待以上に楽しめました。満足。
次は、もっとエッジの利いた方向性の作品を読んでみたくはありますが。