世界平和は一家団欒のあとに 2 (2)

【世界平和は一家団欒のあとに 2.拝啓、悪の大首領さま】 橋本和也/さめだ小判 電撃文庫
Amazon bk1

大確変入りましたーーっ!

面白い。面白かった。すごく面白かった。
これはデビュー作だった前巻より明らかに、そして格段に小説としての完成度があがり、物語のバランシーが上手くなっています。それが小さく纏まってしまう方向ではなく、ちゃんと躍動感ある面白さの上昇へと繋がっている。デビューから二作目で、こうも着実かつ大幅に実力のステップアップを見せるとは、素晴らしい。次巻以降も着実に標準以上の面白い話を書いてきてくれるという信頼感、安心感を凄く感じました。経験的にですが、こういう人は末永く読み応えのある作品を世に送り出し続けてくれるタイプです。


家族全員、特殊なチカラを持ち、なぜか世界を危機から救う役割を押しつけられる星弓一家。
前巻では、世界の平和よりも家庭の家族関係の問題、なんて謳いつつもその問題は一般的な家庭の家族の問題とはかけ離れた、不可解な運命を押し付けられたこの家族にしか起こらないような特別な、そしてかなりヘヴィーな事情で、けっこうシリアス度と重たさが感じられる話だったのだけれど、今回はシリアス度が大幅に削られてます。その分、明るくテンポのいい話調で頚木から解き放たれた主人公たちキャラクターが伸び伸び動いてるような感じ。

今回は以前に主人公の軋人が潰した悪の組織の首領の一家のアフターケア。軋人が組織を潰してしまったために、首領だったお父さんはすっかり落ちぶれリストラされたサラリーマン状態(笑
世界征服をねらう悪の組織って、具体的に何をしてたんだか分からんのだけど。それまでは家族関係は非常に良好だったようで。先祖代々悪を成してきた家系の一族でありながら、どうしてこんなに温かな家庭なんだか(苦笑
でも、いいんですよね、これが。落ちぶれた父親の姿に失望しながらも、本当は父の背中の大きさを信じて疑わない幼い次男。情けない父親に反発しながらも、自分なりのやり方で父や祖父の生き方を継ごうとする長女。悪を卒業して、普通の生き方で家族を守っていこうと決心する父親のたった一人の味方になって暗躍する長男。
なんだかんだと、子供たちみんなオヤジさんの事が大好きで、バラバラになりかけていた家族に、絆が戻り新しく再出発する姿には、ちょっとウルウル。

主人公の軋人は、ちょい皮肉屋で短気だけど、根っからのお節介という性格は、自分の事よりも他人のことでムキになって一生懸命になる方がよく似合ってる。これは妹の美智乃も一緒で、正義の味方の一家というだけあって他人事に首を突っ込んでいる方が生き生きしてるんじゃなかろうか。
七美姉ちゃんだけは、相変わらず傍若無人に突っ走ってるけど。ポマードポマードって、どこの都市伝説怪人扱いだ(笑
そして、ぶきっちょな軋人を脇から堅実にサポートしてくれる、いつの間にか相棒みたいなポディションにストンと納まってる柚島加奈子。テンション低めのクールビューティにも関わらず、要所要所で上手いこと軋人の尻を叩くんですよねえ。一歩退いた後ろから、軋人のことをしっかりと支えてるような感覚。
なんかもう、ここらへん恋人とか通り越して旦那の扱い心得た嫁さんみたいで(笑
雪女な性格はもとより、妹の同級生で年下。おでこが特徴的なデザインと、もはやこの女、パーフェクトであります、先生!!

一方で、今回新登場の悪の首領一家様も、なかなかキャラ立ってて。というか、オヤジさんの初登場時のインパクトは……w 
表紙を飾る長女の銀子嬢は、これ完全に頭の弱い獣系娘だな(笑
しかも、ぺったん。ただ思い込んだら一直線なだけあって、気風も良くって暴走しているにも関わらず、なかなか気持ちの良い女の子でした。
しかし、この娘のやられっぷりがありえねーーっ!
軋人、やりすぎにも程がある。かつてここまで盛大かつド派手に粉砕された女の子キャラがいただろうか(爆笑
大丈夫だとは思うけど、フラグ立ってませんよね。この手の娘って、懐くと凄いからなあw

まー、とにかく面白かった。次への期待もクライマックス!