付喪堂骨董店 2―“不思議”取り扱います (2)

【付喪堂骨董店“不思議”取り扱います (2)】
御堂彰彦/タケシマサトシ 電撃文庫

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少女と書いて、オトメと読むきに!!(瀬戸の花嫁風に)

アンティークと呼ばれる不思議な力を秘めた骨董品に魅入られてしまった人々と、アンティークを取り扱う骨董店『付喪堂』でアルバイトする他人の死という未来を垣間見てしまう義眼のアンティークを持つ来栖刻也と舞野咲という二人の若者の短編形式の物語。

一切の音や気配を断ち完全な静寂を与えてくれる鏡。もう一人の自分のコピーを作り出す仮面。相手の目が見たものを覗き見る事の出来る眼鏡。指定した時間の経過後の姿を写す写真機。
こうした不可思議な力を宿した品物、それ自体はただの道具に過ぎないのだけれど、人間の果てない欲望や性癖というものはただの道具に過ぎないアンティークに、まるで呪いが掛かっているかのように不思議な力に見入られ、取り込まれ、道を踏み外していく。
そうした人間の業の深さと、それに関わる主人公たちの普通の人間らしい当たり前の感性とのぶつかり合いの描き方が非常に秀逸で、単純にちょっと不思議なお話をまとめた短編集、としてもとても素晴らしい出来栄えなのだけれど。

この【付喪堂骨董店“不思議”取り扱います】シリーズをそれだけで終わらせていないのが、一巻、この二巻ともに四篇ある話の最後に扱っている、この物語のヒロインである舞野咲を主人公とした話につきるでしょう。
表の三話では、無表情で感情に乏しく口数も少ない。どころなくダウナーで無気力そうですらある。そんな暗色系ヒロインである舞野咲なんですけれど、彼女が主人公の第四話では、その内面が余すところ無く描き出されているわけで。

何この恋するオトメ!?

このギャップは凄まじくて、読んでてニヤニヤが止まらなくなるんですよ。わりと思考経路がズレてる上に無防備で天然も入ってる事がこれを読むと伝わってくるし、淡々と勘違いを拡大させて黙々と暴走していくありさまは、もう可愛くて仕方が無い。
表面上の言動や、多分咲本人が信じている自分の姿とは違って、中身は本当に普通の女の子。刻也からもらったプレゼントを肌身離さず大事にしてたり。刻也に見てもらうために化粧や身繕いに夢中になったり。

わたしだって持ち合わせているのだ。
普通の女の子のように綺麗と言われたいという願望は。


いやいや、貴女。自分が思っている以上に普通に女の子ですから。
このギャップや差異をまったく違和感を与えず描く技は、まったく見事の一言に尽きます。
参ったなあ、ほんとに。ニヤニヤが止まらない。
ここで咲の本質が明らかにされているので、前の三篇についても彼女が実際は無表情の顔の裏でどんなオトメなことを考えてるのか色色想像できて、楽しかったりもします。一度に二粒美味しいかも。
これはオススメ。