カナスピカ

【カナスピカ】 秋田禎信  講談社

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秋田禎信っていう人の作品って、よくよく読んでみるとストーリー展開にしても、登場人物の内面にしても、スタートラインとゴールライン、起承転結の起と結は実のところけっこうオーソドックスだったりする。ところがこの人のわけの分からないところというか、独特なところはスタートからゴールへと至る過程の部分。起承転結の承転の部分がなんだか抽象画みたいといいますか、焦点を普通とはまた違う方法で合わせないと定まらないような一筋縄ではいかない描き方をしているものだから、いつの間にか起結の方まで酩酊に巻き込まれてしまう。
でも、実際のところ、論法こそ違うものの話やキャラの転がし方自体は実はオーソドックスだから、頭で理解するより先に感覚でストンとハマる感じがする。
まあ意味不明なことを書いたけど、簡単に言えば秋田禎信氏の書き方って他の人にはない独特なもので、面白いってことを言いたいだけの話。
これが絶妙なバランスで成功したのが、オーフェンの前期。段々と先鋭化してかなり一般人を置いてけぼりにしてしまったのがオーフェン後期からエンジェルハウリングなんじゃないかなー、とか思ってる。
シャンクは、その突出した部分を丁寧に削り落としていく過程に生まれたような感じ?

で、この【カナスピカ】
どうしようか。自分的には、秋田禎信氏の作家としての構成物質から『独特』の部分を見事に綺麗サッパリ取り除いて、その本質的な根幹をツルツルの赤ちゃんの肌みたいに磨き上げたような作品に感じたわけですが。
赤ちゃんの肌って、触ると気持ちいいけど、なんだか傷つけちゃいそうで怖いんですよね。だからどうしたって話ですけど。
なんか、デビュー作(だったっけ?)のひとつ火の粉の雪の中を、反転させたような作品だったなあ。内容が云々じゃなくって、読感の問題?
はじまりがあれで、辿り着いたのがここか。
こういうものを、描きたかったのかなあ。もしそうなら、それでいいんだけど。