シャギードッグII 人形の鎮魂歌~defeated~ [GA文庫]

【シャギードッグ II 人形の鎮魂歌 〜defeated〜】 七尾あきら/宮城 GA文庫
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とりあえず、妖怪は桂翁という考えでOK?

読後の感想。
やりたい事を全部、一杯一杯に詰め込んでひーひー言いながらも、それが楽しくて仕方ない、みたいなのがひしひし伝わってきて、なんだかもう抱きしめてあげたい。大好きだーーー!!

すみません。まあ、なんちゅうか、好きな人が好きなことをやってたら、見てるこっちもなんだか嬉しくなっちゃうじゃないですか。そんな感じ。
私は、どうしようもなくこの七尾あきらさんの書く物語とか文章とかキャラクターとかが好きなので、思わず全肯定してしまいました。オーヴァー。

冷静になってみると、詰め込みすぎだとか、バランス的にもう少し構成を整理整頓したりしないといけないみたいな点もあるのですけど、私の好みとしてこういう好き放題野放図に書き散らしているような話って、むしろもっとやれ、みたいに思ってしまう方なので、全然OK。こういう書きたい描きたい描きたい、というパワーが有り余ってしまったようなのって、好きなんだなあ。
むしろ、今回の場合も切り詰めずに巻数を増やしてでももっとネチネチ書いて欲しかったとすら思う。まあ、そうなると付き合ってくれる読者が減るのかもしれないけど。

ところで、どうもまりんが世間様ではウザい子のレッテルを貼られてるようなのですが(苦笑
いや、ぶっちゃけ納得いかーーんですよ。
こういう内心では自分の行動が余計なお世話なんじゃないか、迷惑なんじゃないだろうかと恐れ、恥じらいながらも、表には出さずに失敗にもめげずに熱意をもって他人を想う子は貴重です。
無思慮に自覚も無く他人の領域にズカズカと踏み込んでくる輩というのは、確かに迷惑かもしれませんが、自分のやってること、その暴虐性をちゃんと理解し、その上で明確な意思をもって他人の領域に踏み込んでくるというのは、とても大きな勇気、他人を傷つけ自分も傷つくことを覚悟していなければなりません。
まりんは、表面上は無邪気で考えが足りないようにも見えますけど、その実臆病さと深い思慮を併せ持つ聡明な少女です。その自らが傷つく覚悟を秘めたキャラクターは、彼女に宛がわれた【楯】という役割にとても相応しい良いヒロインだと思うんですけどねえ。

面白いのが、今のところその献身性が多く裂かれているのが、主人公の大介ではなくもう一人のヒロインであるオズの方というところ。
もし大介の存在がなくても、ちょっと百合っぽい筋でこの二人だけで友情と恋愛感情との微妙な揺れを主題にした話が出来そうなくらい、なんかしっかりとした基盤がある。
この作品のごった煮なところは、設定だけじゃなくこうした人間関係にも及んでるんですよね。
大介とオズとまりん。この三人の関係の錯綜具合は、細かくより分けて整頓すると、三つくらいの全く別の作品にしてしまえそう。そんなのを一つにまとめてしまってるわけだから、本来ならゴチャゴチャになってしまいそうなところを、何故か上手いことバランスが取れてしまった三角関係として成り立っているようなイメージが……。
オズが、中性的、というか男性体とかいう反則な属性持ってるせいなんだろうけどw 

ただ、この三人が絶妙なバランスを取り合ってしまってるがゆえに、後輩さんの新参入は、ちょっとどういう影響をこの三人の関係に与えるのか予測がつかない。オズの精神が、かなり幼いということは今巻の様々な場面で明らかにされているので、人間関係に関する情緒が成長して明確に恋愛感情というものを理解した時の危うさが、かなり怖い。
恋敵をサクッと抹殺しちゃったり廃人にしたりしそうだもんなあ。まあ、その頃には倫理観もアップしてるだろうから、大丈夫だろうけど。

今回意外だったのが、例の秘密をわりとアッサリと大介に伝えてしまったところ。もう少し引っ張って、精神的ダメージを手ひどく与える場面で開示するような展開を想像していたのだけれど。
ただ、単純に大介の深層の人格が、例の人物のものかちょっと疑問なところも。例の人物の慕われ方といい、【仏】というあだ名といい、むしろ今の表の人格の方がそのまま……というのは勘繰りすぎ?
ともあれ、話は物凄いところで終わっているので、早く続きを出して欲しいところなのだが、既に出版予定は十月と決まっているそうなので早くも遅くもないわけなので、粛々と十月が巡ってくるのを待つばかり。

とりあえず【西の魔女】のドジっ娘属性はベリーグッドでした!!
やり手のくせにダメダメだ、この人w