レンタルマギカ吸血鬼VS魔法使い!

【レンタルマギカ 吸血鬼VS魔法使い!】 三田誠/pako 角川スニーカー文庫


「これは、僕とオルトの戦いだ」


この天然たらしめ!!(全力で褒めてます)
とうとう女の子だけでなく、とししーたの男の子まで誑し込むようになってしまったか、いつき社長。
まあ、元々この子の筋の通し方は、女の子とか男の子とか老人とか若い子とか関係無しだもんなあ。老若男女を問わず、この子は相手を魅了していくわけだ。この主人公の立場を数多の人間を従える【社長】にしたのは大当たりだったのかもしれない。彼の魅力であり価値というものは、きっと様々な人たちを魅了し守り従え導き、同時に支えられ庇護され助けられ背中を押される、というものだから。
このシリーズの始まりの頃は、いつきのキャラって偽善者っぽくて二面性もなんか安っぽくて鼻につく感じがプンプンしてたんだけど、シリーズが続くにつれてなんだか真ん中にガンと一本芯が通り始めて、いつの間にか凄く気持ちのいい、弱いなりの強さのバランスの取れた実に格好の良いキャラクターに育ったと思う。
グラムサイトを全開にしたときに現れる人格も、ここ何巻かで抑制がきいているというか、制御が出来ているというか、別の人格ではなく伊庭いつきらしさを失わないままスイッチが入ったみたいな感じになってて、素直にカッコイイように思えてきた。

加えて、魔法戦の描写は巻を重ねるごとに洗練されてきているように見える。最高潮は<アストラル>の総戦力を投入した【鬼の祭りと魔法使い】のクライマックスになると思うけど、あれでなんか掴んだのか完成したのか。以降の伊庭いつきの指揮統制によって、それぞれ異なる魔術を操る魔法使いたちが、それぞれの魔術の特性を活かし、協同で共通の敵と相対する諸兵科連合戦術。今回は新入社員のデビュー回ということで、その辺は一瞬しか描写されなかったけれど、シーンの盛り上げ方はもう手の内に入れたって感じで、燃えた燃えた。

物語のほうも着々と進行しているようで。
これまでで、既にいるアストラル社員の魔法使いの掘り下げと人間関係の強化は完了し、さらに今回アストラルにはいなかった近接戦闘も可能な攻撃力の高いルーン魔術の使い手オルトヴァーンが加わって、アストラルの戦力も充実すると同時に、着々と未だ全面には出てこない敵勢力<螺旋の蛇>も強力な人材を確保して、戦力を増やしてきている。
敵味方、双方ともにまだ見ぬクライマックスに向かって陣容を固めてきているのが透けて見えて、否が応にも盛り上がってきております!

しかし、ここで毒舌で皮肉屋で根は生真面目で素直じゃない、なんてムチャクチャ可愛らしい性格の、年下の目つきの悪い男の子を仲間として投入してくるなんて、隙がないなあ(笑
ここ、同年代じゃなくて微妙に<年下>というのがミソね、ミソ。心の底では懐きまくってるくせに、表面上は突っ張ってる年下の男の子ほど可愛いものはありません(ここ、断言)
ほんと、隙がないなあ。

しかし、このシリーズもついに完全にダブルヒロイン制になっちゃいましたねえ。登場した当初はメインヒロインである穂波の噛ませ犬みたいなちょっと可哀相っぽい立場だったアディだけど、よほど人気がウナギノボリだったのか、書いててほんとに好きになっちゃったのか、グイグイと穂波といつきとの間に食い込んで、今では書き方からして優劣一切無しのメインヒロインに。
一方の穂波も、当初はあんまりパッとしないサブヒロインに食われるタイプの幼馴染キャラだったにも関わらず、アディの猛追に煽られたのか、途中からやたらと魅力がアップして、今ではアディと差しで張り合うに相応しいメインヒロインに。
ライバル同士が角を突き合わせれば、お互いにグイグイと成長していく、って本当なんですねえ。
今ではいつきという存在がなくても、穂波とアディ、この二人だけでも学院時代からの天敵でライバルで、お互いのことを誰よりも理解し、認め合っている親友同士、という読んでて実に楽しく歯応えのある関係に。
男女間の三角関係って、泥沼化・修羅場化するのが面白い、ってのを除けば、一番面白くなるのってこうした二等辺三角形じゃない、正三角形の関係なんですよねえ。

このシリーズのもう一つの魅力といえば、絵師のpakoさん。この人のイラスト、少なくとも表紙と口絵に関してはぷるんとツヤがありつつ、しつつぬらあっとしつこくて(へいげもの風表現)素晴らしい、というか大好き。
強烈なインパクトのオルト君と、ぷんすか激怒してるみかんの口絵は、すまん、大好きだ。
レンタルマギカシリーズに共通してる、二枚目の魔術大系や魔物の絵もけっこう好きなんですよね。特に【鬼の祭りと魔法使い】の上下巻の二枚目の口絵は、神秘的で気に入っております。

今度アニメ化だそうですけど、ひそかにムシウタより期待してるかも。
というか、穂波→植田佳奈さんって、もう勝ったも同然でしょう。じゃなくて……。なんか、関西弁キャラで植田さんって、ものすげー安心感あるんよねー。
まー、折角なのでアニメ公式サイトのリンクも貼っておこう。