コードギアスナイトメア・オブ・ナナリー 1 (1)

【コードギアス ナイトメア・オブ・ナナリー 1】 たくま朋正 角川コミックス・エース


実際に本を手にとってページを捲るまで気がつかなかったんですけど、この作者、たくま朋正さんじゃないですか。
ナナリーが主役のコードギアス・スピンオフ作品という内容に気を取られて、描いている人が誰かにまったく意識が行っていなかったのは不覚。
たくま朋正といえば、私にとっては【鉄コミュニケーション】。といっても、本は持ってないのですけど、雑誌で見たのかなあ。最終回でのハルカの母親と女と少女がない交ぜになったような、包容力を感じさせる微笑が未だに脳裏に焼きついているのであります。

で、本作なんですけど、こりゃあ思ってたよりもずっと面白かった。大胆にオリジナルの展開に持ち込みつつも、決して無軌道になにをやってもいいと勘違いしていないんですよね。あくまでこれもコードギアスという枠組みに拘ってる。
ナナリーという少女は、このマンガの後書きで作者が触れているように、アニメ本編でも重要な役どころにも拘らず、唯一といっていいほど内面というか、キャラの心底を見せなかったキャラ。ただ愛され守られるだけの存在だった、といえばそれまでなのだろうけれど、果たしてそれだけの少女だったのか。もしかしたら、アニメ本編でもこれからまだ見せていない一面や、思惑を前面に出してくるのかもしれませんが、それは一つ置いておいて。この物語は、ルルーシュが新宿事変で表舞台から消え去り、一人残されたナナリーが【力】を手に入れ、主人公として世界の変革に関わることになるというもの。
このナナリーが、なかなかヨロし。穏やかで思慮深く我慢強く何より優しいというナナリーという少女の、もう一つの顔。岩佐氏の書いている小説でもその存在が示唆されていた、苛烈で激情的な一面。それがギアスの力を介して一つの人格として励起し、穏和な人格と相克しながら戦いの渦中に放り込まれる。
互いを否定するのではなく、さりとて認め合うのではなく、主人格である穏和なナナリーは常に悩み煩悶しながら、もう一人の自分と対峙する。この自分自身との対決と、外界における物理的な戦いを並行しながらやれてる時点で、もう面白くなる要素の塊みたいなもので。
加えて、オリジナルキャラクターである、親友のアリスの存在。誰よりもお互いを大事に思っている二人。それでいて、立場は敵。
この点、兄のルルーシュとスザクの関係に照らし合わせているのかもしれないけど、二人ともこの男どもみたいに性格歪みきってないだけに、後々余計に苦しみそうだなあ。

というわけで、これはコードギアス関連とか抜きに、一本の漫画作品としてなかなかドライブの効いた作品に仕上がってますよ。おすすめ。