十三番目のアリス 4 (4) (電撃文庫 ふ 8-4)

【十三番目のアリス 4】 伏見つかさ/シコルスキー 電撃文庫


これは、この展開は…………。
正直、もっとストーリー展開はぬるいものを予想してたんだけど、こりゃあ思ってたのよりも遥かに過酷な路線に舵を切ってきましたね。
これでは、もうアリスも三月くんもリリスも後戻りできない位置に踏み込んでしまったんじゃなかろうか。みんなが笑って大団円、という終わりは事実上、切り捨てられたと見てもいいかもしれない。

自分が主人公ではなく、むしろヒロインの立場で、しかも特別な力は何もなく、戦況を左右するような智謀もなく、アリスの巻き込まれた戦いに何も出来ない無力な存在であることを誰よりも痛感している三月くんの立場からすれば、たとえば他のバトルものやハーレムものの主人公のように、仲間や知り合いになった女の子全部を守ったり助けたり力になってあげたりすることなんか出来ないとわかっているわけです。本来なら、彼の気質は自分を犠牲にしてでも自分が仲良くなった人々に、なんとしてでも力になってあげたいと思うような優しい性格の持ち主。だからこそ、彼の選んだ道は痛々しく、残酷で、彼自身の心をズタズタに切り裂くような無惨なもので……それゆえに、この子、応援したくなりました。
しかし、ここで三月くんに選択の決断を強いる相手を、ノエルにしたのは効果的だけど本当に、容赦ないなあ。性格は真っ正直で裏表なく、良識と礼節と恥を知り、三月に淡い思いと優しい気持ちを投げかけてくれた、アリスたちを取り巻く非情な運命さえなければ、掛け替えのない友達、仲間として付き合うことが出来ただろう相手。ただの無情で酷薄な性格の敵が相手なら、ここまで三月の行動が悲痛で覚悟の座ったものにはならなかったでしょうけど。容赦ないなあ。
てっきり、なんだかんだと第十研究所の博士とロボ子みたいに決着は先送りになると思っていただけに、ラストの展開には息を呑まされました。

これで、三月くんは今後、どんな展開が訪れたとしてもアリス以外の相手に手を差し伸べることはないでしょうね。
彼は、無力な自分には大好きなアリス以外の相手に手を差し伸べる余裕なんて自分には一切ないという現実を、理解してしまっている以上は。
アリスと三月の、もうニヤニヤが止められないこっ恥ずかしいイチャイチャ振りが可愛らしいだけに、余計に二人の運命が過酷に映ります。どこかままごとみたいなアリスと三月の恋愛は、これより友情も何もかもを切り捨てた、屍山血河の上に築かれていくことが運命付けられているのですから。

アリスとリリスの嬉々とした三月くん弄りや、女装させられた三月くんが巻き起こす騒動。ノエルやチビっ子博士たちとの交流など、日常パートのドタバタコメディが、これまた面白いだけに、余計にシビアな展開が響きます。
ここに来て、また違う一面を蓄えてきましたね、十三番目のアリス。

いや、しかし相手のことが好きで好きでたまらなくてサディステックな方向に励んでしまうヒロイン、というのはツンデレの別の派生系なのかよくわからんけど……萌えるなあ(笑
円環少女のメイゼルも大概だけど、こっちのアリスも大概酷い(w