カレイドスコープのむこうがわ 2 (2) (電撃文庫 み 11-2)

【カレイドスコープのむこうがわ 2】 三木遊泳/ぷよ 電撃文庫



奇を衒わない普通の文章に普通の話、というのは人によったら退屈かもしれないけど、でも普通の中にも実はいろいろと書く人によって違いってものはあるんですよね。味気ないものもあれば、丁寧でしっとりとした質感のものもある。感じ取り方は読む人それぞれなのかもしれないけど、この作品の普通さは、もっと評価されるべきなんじゃないだろうか。
素晴らしい普通さ、だと私なんかは思うんですけどねえ。

この作品が結局この二巻目で終わりを迎えちゃった原因、この作品の問題とするべき部分はそうした普通の部分じゃなくて、いろいろとあれもこれも書きたいという欲張りなところだったんじゃないだろうか。それらが全部ストーリーを機能させるように有機的に連結されていればよかったんだけど、祓い屋淑乃との関係、井上さんとの関係。土地神の少女との関係。それぞれが分断されてたからなあ。ちょっと散漫になってる印象はあった。私は、これからゆっくりとつながっていってくれりゃよかったんだけど。

今回は井上さん視点の話もあったんだけど、その中の井上さんが主人公のことを好きになったエピソードが、とても普通で素晴らしかったと思うんですけど、どうでしょう?
自分が思っていた人物像とは少し違った部分を垣間見てしまった瞬間に芽生える恋心。その違いというのは、特別なことでも凄い才能とかいうのでもなく、本当に些細な、自分の考えていたものとはちょっと違った一面というだけのもの。でもそれだけで、それまで捉えていたその人のさえない性格とか優柔不断そうなところとか、特徴とか人物像は以前と何も変わっていないのに、そんな彼の人物像の捉え方の方が変わってしまう、というところなんか、ああ恋の芽生えだなあ、とじんわりと笑みが浮かんでしまったわけです。とても素朴で素敵な普通の恋のはじまり。

それだけに、最後のエピソードは、私はあんまり好きじゃないなあ。ああいう終わり方は、きれいではあるけど、それまでの井上さんの主人公への気持ちとか思い出とか、そういうものがとても普通で素晴らしいものだったから、あくまでそれを大事に胸に抱えたまま、普通の形で二人にはハッピーエンドを迎えてほしかった。
二話目の終わり。落ち込むことがあって無性に井上さんに会いたくなって夜中に彼女の家を訪れてしまった主人公を迎えた井上さんの気持ちとか。とってもこう、あったかいものだったから、一生大事に思い出として持ってて欲しいものだったんだけどなあ。これからいくらでも思い出は作れるとしても、同じ思い出はもう二度と作れないんだから。

とはいえ、読んでて思い知った。私、この人の書く話とか雰囲気とかテンポとか、めっちゃ好きだわ。
井上さんかわいいなあーー。かわいいよーー。
カレイドスコープはこれで御仕舞なんだろうけど、次回作も気を衒わず真っ向勝負してほしい。ただ、書きたいことはしぼってくれればと思わなくもない。あれもこれも、じゃなく一点集中で。