薔薇のマリアVer3―君在りし日の夢はつかの間に (角川スニーカー文庫 182-11)

【薔薇のマリアVer3―君在りし日の夢はつかの間に】 十文字青/BUNBUN スニーカー文庫


今回は全遍、アジアンアジアン。
というよりも、アジアンが頭領を務めるクラン【昼飯時(ランチタイム)】の短編集。
ランチタイムってまた、マリアたちの<ZOO>にも勝るとも劣らない変な名前だなあ、と思ってたんですけど、命名にはこんな理由があったわけか。
おそらく、名付けた時には特に深い考えがあったわけじゃないんだろう。でも、この短編集の最後の話での物語を思うに、この物語の舞台、法の無い無統治国家の首都エルデンという悪徳蔓延る街の中、人として壊れているものたちが集まるこの街で、このランチタイムという名前の導くこのクランの在り様というのは、このクランに参加している人たちにとってどれほどかけがえのなく大切なものになっていたのか。
うあ、なんか胸が熱くなる。

アジアンは、マリアのストーキングしている時とそうでないときとは、まるで別人なんですなあ。マリアの前では甘い言葉ばかり吐く気障な変態ストーカーでしかないのに、普段のアジアンと来たら……。
それでも、その魅力的な雰囲気と来たら、なるほど男女常人異常者問わず、惹かれるのも無理はない。
ただ、そんな特別なアジアンを、クランを作ろうか、なんて言葉を吐かせるようなところまで引っ張り下ろしたのは、亡きクラニィという男の人間味、人情味なんでしょうね。
無法の街で、己が優しさを恥じらい照れながら黙々と貫く男。
二巻で、彼が殺された時のアジアンの気持ち。あの時はクラニィという男がどういうやつなのか、こちらには何も情報がなかったのでアジアンのクランの仲間が殺されたんだな、という事実を淡々と見つめるだけだったけど、こうして彼の人となりをじっくり見せられると、今更ながらに苦しくなる。
思わず、二巻と三巻を読み返してしまった。アジアンが受けた衝撃たるやいかばかりか。

それゆえに、最後の話は感動したなあ。
結局のところ、みんなアジアンが大好きで仕方がない、という結論は単純だけどこの上なく素晴らしくて、アジアンは何だかんだと幸せなやつなんだと思うのでありますよ。

でも、ランチタイムの雰囲気を見てると、確かにマリアがここに加わるのはちょっと違うなあ、と納得。

この本読んで、いっぺんにランチタイムの面々、好きになっちゃったわけですけど、やっぱり一押しはダリエロでしょう。なに、このツンデレな極悪人(笑