Landreaall 11 (11) (IDコミックス ZERO-SUMコミックス) (IDコミックス ZERO-SUMコミックス)

【Landreaall 11】 おがきちか ゼロサムコミックス


DX…、おのが根源を脇に置いたか…(感嘆
DXは、まず何より、自分は傭兵であることを信条としていた。身分も立場も超越して、心の自由を尊ぶ。その象徴として、自分を傭兵と位置付けていた。
だが、その自由の剣が及ばぬ相手を前にした時。戦いの剣が通じぬ相手と向き合い、それでも負けられない、助けなければならない人がいる。

その時、DXがくだした決断は……。

毎度のことなんだが、俺はこの漫画の単行本を座ったまま読み終えたことがない。正確には居てもたってもいられなくなって、部屋の中を徘徊しはじめてしまうのだ。
でないと、体の震えが収まらない。
傍から見ればバカみたいだろうが。

これまでのDXを見続けたものならば、誰もが感じるであろう。彼の下した決断の大きさを。彼が選んだものを。
DX・ルッカフォート。彼は彼のままであろうとするがゆえに、もはや今までの彼のままではいられなくなったのだ。
彼が踏み出した一歩は、あまりにも重い。それは、まさに王という座に向かう一歩だ。しかも、今までのように血筋が呼ぶものでも、素質による立脚でも、無意識の結果でもない。
紛うことなき、自らの意志による、責を負うことを自覚した上での一歩だ。
彼の鳥の翼のような身の軽さ、心の軽さがはたしてこの重い決断を前にどうなるのか。

これはもう、ただ一人の個人が友達を助けにきた、という話では済まなくなった。済まなくなくしたわけだ。国家同士の問題になる。たとえ、リドの件が上手く終わったとしても、DXが下した決断はかつての混乱からやっと表向き平穏を保ちつつあったアトルニアという王国を再び激動の渦に巻き込むことになる。
そして、その中心はDXだ。
いいのか、アンちゃん。貴女に、それが分かっていないはずないだろうに。

時々さ、マンガとか小説とか映画とかで、凄い皇帝とか将軍とか、そういう人に対して、自分などではとうてい理解の及ばない人だ、という評価をする人とかいるけど、今までそういうの読んでもふーんと思うだけで、大した言い回しとは思っていなかったんだけど。
なんか、この作品読んで初めて、自分の頭じゃ理解しきれない人、というのをフィクションの中で目の当たりにした気がする。
まったくわからないわけじゃないんだ。その在り様についてなら、分かりやすい位なのに、でもじっと見ているとまるで底が見えないことに気がつく。深く深く、覗けばどこまでも落ちて行きそうで。
得体が知れないんだ。

彼が、王になったとしたら、どんな王様になるんだろう。まるで想像ができない。全然、予想がつかない。
そして、とてつもなくそれを見てみたい。
アンちゃんの気持ちが良くわかるよ。怖いもの見たさ意外の何物でもないんだろうけどさ。