アストロノト! (MF文庫 J あ 5-1)

【アストロノト!】 赤松中学/bomi MF文庫J


ッッゃひゃぁ! これは素ッッ晴らしかッ!!
なんちゅうか、最近はスカッと胸のすくような一本芯の通った主人公が多くて困る。カッコイイじゃないか、ちくしょうめ。
ノトが月を目指す理由は、最後の最後まで伏せられるのですが、これはいいアクセントになってたと思います。意外とこれ、不評な人も多いみたいですけど、私は伏せられてて逆に良かったですよ。これは理由を語ってくれないことにイライラを募らせるレンビアに共感するのではなく、男は黙って決意し行動するのみ、というノトの男気に感じ入ったからかなあ。夢でも希望でも浪漫でもない、何か尋常ではない決意を持ってノトが月を目指している、というのは伝わってきましたからね。月に行きたい、じゃなくて、行かなければならない! それも時間制限付き。その思いは誰にも語らず胸に秘め、何が何でも成し遂げる、というその決意。
この決意は真実を明らかにされて共有するよりも、見守る方が心地よかったです。

宇宙飛行士という人間は浪漫という名の救いがたい宿業ともに語られることの多い存在ですけれど、このノトのような理由によって目指すのも決して悪くはないんじゃないでしょうか。
少なくとも、私はこんな理由のために何もかもを犠牲にして投げうって月を目指したノトが滅茶苦茶格好良かったですよ。
しかし、不覚でした。伏線はすでに最初から張ってたわけですか。あとから見るとけっこう分かりやすい伏線で、私自身チラっとこれって彼女が思ってるのとは違って、●●なんじゃないのかな、と思ったんですけど、それをノトの月に行かなければならない理由に繋がるものだと全然思わなかったのが、ちと悔しい。
それどころか、具体的な内容はともかく、ノトが月に行こうとしている大まかな理由にすら、ノトとレンシアが喧嘩するまで気付かなかったものなあ。
いや、これは作者のストーリーテーリングが上手かったと敢えて言いたい。

一方、宇宙を目指すという浪漫と、目指さなければならないという業を背負った役割の人も蔑ろにされていなくて、ちゃんとサベラがその役を担ってるんですよね。夢と責任。先に逝った者の遺した思いを継ぎ叶えようという願いと呪い。重圧と心の傷に押し潰されそうになりながら、それでも仲間に助けられ、這いつくばるように前に進み、ついに翼を手に入れる。
何気に終盤、主人公並に輝いていたのはこの人だったかもしれません。


レンビアについては多くを語らずとも好いでしょう。
レンビア、かわいいよレンビア。
突然月に狂ってしまった幼馴染の少年に戸惑い心配する姿は、気の強さで紛れてしまってますけど、意外なほどノトへの好意は隠してないように見えるんですよね。
ノトとの距離感や親愛関係の素敵な感じだし、まあ端的に言うとあれですな。お似合いのカップルということで。

で、もう一人のヒロイン。ナキアミなんですけど。
エルルゥがいるよ、エルルゥが! と思ってしまうのはしゃあないでしょうが!(苦笑
しかも「穴掘って埋まりますぅ」って、雪歩じゃないですか、それ!ww