プリンセスハーツ 両手の花には棘がある、の巻 (小学館ルルル文庫 た 1-2)

【プリンセスハーツ 両手の花には刺がある、の巻】 高殿円/香代乃 小学館ルルル文庫


ちょっ、そこで終わるのか!? やられた。完全に前後篇じゃないですか。こんな場面で終わられたら、どれだけやきもきして待たないといけないんですか!!

それにしても、このプリンセスハーツのジルは、歴代の高殿円作品のヒロインの中でも一番可愛いんじゃないでしょうか。いや、可愛い。かわいすぎる(言い切る
自覚症状の無い嫉妬心が飽和しきった途端、やけ食いに走る鉄面王妃(笑
元々ルシードとは利害関係に割り切った共犯者に過ぎず、仲間ですらないという間柄に、双方ともが自分をはめ込んでますからねえ。それに片やルシードは戦場でこそ活き活きとする完全脳筋系で頭固いは依怙地だわ女心はさっぱりな上に、精神面は少年そのままの純朴さで繊細ですらあるという厄介な性格。片やジルの方も政治的辣腕や宮廷内の陰謀を未然に防いだり操ったりする狡知に長けてるくせに、根はお人好しで人の善意をあんまり疑わないわ、勉学ばっかりにかまけて年頃の女性としての振る舞いには疎いわ、感情の動かし方が不器用すぎるわ、男心はさっぱり理解してないわ、とてつもない厄介な性格をしているわけで。
そんな二人じゃ、うまくいくものもいかないですわな(笑
その上、ルシードが本当に愛しているのは、ジルと全く同じ容姿をしたメリルローズなわけで。ルシードがジルに抱き始めている感情がどういうものなのか、分からないほど鈍くて不器用というのもあるんでしょうけど、それ以上に非常に認めがたいものがある、というのもわかるんですよね。
だから、ルシードがジルに辛辣にあたったり、逆に気を遣ったりと支離滅裂な対応をしてしまうのもわかるし、傍目には自分が愛妾の方に靡いてることにジルが表面的にまったく反応を見せないことに拗ねる姿も、まあ可愛いんですよね(苦笑
いや、ジル嫉妬してるから。めちゃめちゃ機嫌悪くしてるからw
破滅的なのは、そうした自分の感情にジルが事態が致命的な展開を迎えるまでまったく気がついていないあたりですけど。

でも、この二人にマシアスを加えた三人の同盟関係は非常に興味深いですね。パルメニアを滅ぼすために結んだ手。余人には知られてはいけない秘密を共有した共犯関係。で、あるからこそ逆に言えば本心から相手に気を許してはいけない関係、という形になってしまっているところとか。
ルシードも、ジルも、おそらくマシアスも、お互いを建前の関係以上に信頼し、親愛を感じて、できうるならばもっと近しい関係になって欲しいと思っているにも関わらず、それぞれが抱えた闇と秘密、そして互いに規定してしまった関係と念願叶えばそれぞれ違う道を行くはずという未来が、お互いの距離を近づけるのを阻んでいる。
何もかもを取っ払ってしまったら、きっと彼らはとても近しい距離にいるはずなのに、実際はそれぞれ孤独感を募らせ、罪悪感を抱きながら、それを抑え込むだけの決意や決心に突き動かされている。
まったく複雑怪奇な関係で、雁字搦めで容易なことでは解けないようなものになってしまっているわけですけど、やはり突破口となるのはメリルローズの真実と、ルシードとジルの間に芽生えつつある恋心となるんでしょうか。

なんにせよ、あんなところで終わられたら気になって仕方ないじゃないですか。続きをはやく、はやくーー!!