カッティング ~Case of Tomoe~ (HJ文庫 は 1-1-2)

【カッティング ~Case of Tomoe~】 翅田大介/も HJ文庫



一作目に引き続き、登場人物たちに対して優しさと抱擁感を感じさせる筆致ですねえ。それでいて、甘やかしているのではないのは、主人公の痛々しい自意識を突き放すように書いてるところ。
幼い頃のトラウマがあるとはいえ、主人公の抱いている自分への絶望感はまったく幼稚で若者にありがちな浅薄で自己満足的な自傷にすぎないように見える。
ハッキリ言って、こういう思いを本気で書かれてたら辟易しそうなものだけど、行間から滲んでくるのは共感や投影、憐憫ではなく、むしろ突き放したような冷たい目線。
つまるところ、彼の痛々しさは敢えてそういう風に描かれているんでしょう。それでいて、否定感は感じないんですよね。
前作でも感じたところだけど、過剰に許容するでもなく、拒絶するでもなく、若人の心のありようとありのままに、真摯に向き合うような筆致が全体から漂ってくるのです。
作者の人は、年齢いくつくらいなんでしょうね。あとがき見る限り、それなりには行ってそうですけど。大人の立場から見下ろすものとも少し違う、同世代の視点からうつしたものともまた違う、優しくも厳しく傷の痛みに溺れる少年少女を描き出すこの作風、やっぱり好きですわー。
カッティング、というタイトル。こうしてみると、実にテーマとフィットした良いタイトルですわ。