乙女はお姉さまに恋してる 櫻の園のエトワール (ファミ通文庫 O 4-1-1 SPECIAL STORY)

【乙女はお姉さまに恋してる 櫻の園のエトワール】 嵩夜あや/のり太 ファミ通文庫


私は今、感激に打ち震えています。
【おとボク】だ。この小説は間違いなく【乙女はお姉さま(ボク)に恋してる】そのものだ!!
かつて、あのキャラメルBOXから発売された【乙女はお姉さま(ボク)に恋してる】 ↓

処女はお姉さまに恋してる 通常版
処女はお姉さまに恋してる 通常版
おすすめ平均
stars主人公の成長物語です
stars男の子がお姉さま!?

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


これをプレイして楽しんだ覚えがある方なら絶対に読んで損はありません。
原作ゲームの脚本を書いたシナリオライターが執筆しただけあります。あの懐かしい【おとボク】の優しく颯々とした空気がこの小説にはあふれかえっております。まさしく、これは正しき【おとボク】の後日談でした。

物語は主人公であった瑞穂様をはじめ、紫苑、貴子、まりや、という伝説の百九期が卒業したあとの聖應女学院。
瑞穂ちゃんたちがいなくなっても、彼女(彼)たちが残したココロはそのまま後輩たちに受け継がれ、聖應女学院の柔らかな世界は連綿と続いていました。
ゲームのエピローグでチラリと触れられていた妹たちのその後の活躍。【白菊の君】と呼ばれるようになった周防院奏や、【琥珀の君】上岡由佳里。姉たちに甘えてくる可愛い妹だった彼女らも、少し成長した、でもそのキャラクターのまま、新しく入寮してきた新入生、七々原薫子。皆瀬初音たちと、それぞれ新しい姉妹関係を築いていきます。
エピローグを見た時は、あの娘たちがお姉さまねえ、となんだか可笑しかったんですけど、どうしてどうして。こうして瑞穂たちが卒業した後の奏たちの立派な姉としての姿、上級生の姿を読ませてもらうと、彼女たちが学院の注目を浴びる存在になっていくのも無理からぬことだと凄く納得させられました。

あとがきでも書かれていらっしゃいますけど、この話はほんと、「聖應女学院年代記(クロニクル)」。

貴子の後を継ぎ生徒会長になった君枝。エルダーにまで選ばれ、【かぐやの君】という二つ名まで得て、その貫禄や才幹の発揮振りは見事貴子さんの期待に応えておりました。
ゲームではほんのチョイ役だった生徒会役員の面々。でも、意外と彼女らも人気出てましたよね(笑 門倉葉子と烏橘可南子の二人も、片や凛々しきエルダーの片腕【帝の君】として、片やぽややんとした天然に隠れた陰の実力者として、君枝とともに存在感バリバリ発揮してました。
何気に二人のファンだった人も必読かも。

一方で新入生組も、これまでのおとボクにはいなかった、でもあのゲームの主要メンバーの中に混じっていても何の不自然さもなかっただろう存在感で、この物語をリードしていきます。

お嬢様とはかけ離れた横柄でがさつな大女、七々原薫子。この物語の主人公格で、奏と姉妹となり、後に【騎士の君】と謳われることとなる彼女を中心に、由佳里と姉妹になる気弱で物静かな皆瀬初音。
なかなか周りに馴染めない薫子と真っ先に気が合い親友になる奇矯な<王子様>真行寺茉清。
薫子の聖應女学院の独特な空気に戸惑う姿は、あの瑞穂を思い起こさせて楽しかったんですけど、ひたすらオロオロしていた瑞穂と比べて、薫子は戸惑いながらもあんまり動じることなくドンと構えている様子は、むしろ瑞穂より男らしくて笑ったなあ(笑

そして、季節は流れ、訪れる卒業シーズン。
君枝を中心に描かれる卒業のエピソードは、ある意味瑞穂たちのそれよりも丹念で情緒的だったかも。
一本だけ咲き遅れた桜の木。君枝がその桜に託した想いを、受け取る一人の新入生。ケイリ・グランセリウス。
おとボクでも、もしかしたら一番エキゾチックでミステリアス、加えてエキセントリックで茶目っ気のあるキャラクターは、上級生になった薫子との絡みでもう少し奥深くまで覗き見てみたかったかな。
キャラメルBOXのファンディスクで彼女たちのエピソードとか見れたら、絶対買いますよ。

君枝の後を引き継ぐ新生徒会の設立。新たなエルダーの選出と、最後まで見逃せないエピソードが盛りだくさん。

にしても奏さんや。瑞穂がエルダーになったとき、自分が理想の女性像と讃えられて悩んでた、というのはその通りだと思うけど、瑞穂ちゃんが悩んだり落ち込んでたりしてたのは貴方が想像している理由とはちょっと違うと思うぞ(笑

ラスト、並木道を並んで歩く奏たち。
かつてと顔ぶれが変わっていても、それは変わらぬ光景で。
世代が代わっても引き継がれていくものが確かにあると、実感させられる光景で。
歴史と伝統、そこに宿った想い出というものは、こうして受け継がれてのだなあ、と胸打たれました。

思いもよらぬ小説という形での後日談でしたけど、再びあの【乙女はお姉さま(ボク)に恋してる】の雰囲気を存分に堪能できて、幸せで今お腹が一杯ですーーー。


………それにしても、瑞穂ちゃん。未だ、奏たち後輩連中には性別が男だということがバレてないのか(汗
もう既に大学では男として通ってるはずなんだけど。