モーフィアスの教室 (電撃文庫 み 6-20)

【モーフィアスの教室】 三上延/椎名優 電撃文庫


三上さんの作品は、毎回幼馴染がツボにはまりすぎて困る。困るw

なるほど、路線としては甲田学人氏型のホラーテイストに、は前々作【シャドウテイカー】タイプの日常の中にひっそりと闇が忍び寄るような暗澹とした空気の学園異能モノを合わせたような方向に舵を斬りましたか。この作者のスタイルからすると、同じダークでも前作のヒーローものよりもこちらの方が似合ってるし、雰囲気もひしひしと伝わり、暗いものが匂いたってる。
そして、今までの三上作品にはなかった新しい要素として、その傍若無人な乱行で主人公を振り回す幼馴染の存在があげられるでしょう。こう、パワフルに事態をひっかきまわし、牽引するタイプのキャラはこれまでいなかったんじゃないだろうか。それだけに、元々の作者の停滞感、閉塞感を感じさせる作中の雰囲気の中に、幼馴染の彼女の強引な振る舞いが躍動感を感じさせて、これまでの三上作品にはないものが感じられて、なんか新鮮というか、良かったですね。それでいて、三上作品特有の重々しい空気は減じてないどころか、逆に引き立てられている感すらあるので、あの空気が好きだ、という人にも満足いただけるかと。
幼馴染の綾乃が、出来た人間じゃないというのも、好みだ。傍若無人で無愛想でコミュニケーション能力に欠け、騒がしいが快活というには相応しくない。幼馴染としても友達としても付き合うのにとてつもなく大変で面倒くさい女で、現実主人公の直人は正直彼女のことは倦厭気味なのだけど、でも私ってけっこうこういう嫌な面の多いヒロインって好きなんですよね。不器用さ、というのは一つの魅力なんだと思います。もちろん、それを魅力的に書いてくれればの話ですけど。
その意味では、この綾乃は十分魅力的で可愛いヒロインです。ほんとだよ?