異国迷路のクロワーゼ 1 (1) (角川コミックス ドラゴンJr. 111-2)

【異国迷路のクロワーゼ 1】 武田日向 角川コミックス ドラゴンJr.


しゃ、洒落にならんな、こりゃ(汗
先の短編集【狐とアトリ】は、秀麗なのだけどちょっと描き込みが丹念過ぎて逆にごちゃごちゃして見づらいところがあったんだけど、この異国迷路のクロワーゼはその辺、非常に整頓されすっきりしたように思う。もちろん、描き込むところはしっかり緻密に描かれているのでこの人特有の淡くも鮮明な美しい絵のクオリティはまったく失われていない。メリハリが出来たのかな。
いやはや、それにしても……【GOSICK】の衝撃もう一度、ですなあ。あのヴィクトリカの尋常ではない可愛らしさには気絶しそうなくらいショックを受けたものだけど、正直あの奇跡のような人物描写を漫画で再演できるとは思ってなかった。
【GOSICK】じゃ、口絵や挿絵の数枚でしか堪能できなかったの愛らしいキャラクターが、こっちじゃ漫画の単行本一冊分堪能できるのですよ? もう、気が遠くなる!
時は19世紀後半のパリ。日本から祖父が連れて帰ってきた日本の少女湯音と、看板屋の若き店主クロードが、お互いの見知らぬ異文化の相違に戸惑いながら、お互いの気持ちと心を寄り添わせていく物語。
19世紀のパリ、という舞台で着物を着た小さな人形のような少女がちょこまか動き、クルクルと喜怒哀楽に表情を変え、優しさや思いやりに触れてはにかむその笑顔。もう、可愛いったらありゃしない!
相手を大切に思う心、いつくしむ気持ち、温かな思いやりがあれば、たとえ異文化という壁がそそり立っていたとしても、そんなものなんて乗り越えて相手に近づくことができるのか。それは、きっととても難しいことなのだろうけど、もしそれが叶うなら、それはとてもほんわかと体の芯からあったかくなれることなんだろうな、とこの本を読んで思いました、と読書感想文のように締めてみよう。
いや、それにしてもこれは素晴らしいわ。キャラの愛らしさ、背景に描かれる19世紀の欧州の街並みの雰囲気のみならず、日本から現れた少女と彼女を受け入れた青年との交流というストーリーも、非常に洗練されてて、とてもとても絵が優先の漫画だなんて口が裂けても言えない出来ばえ。
素晴らしかった。これは注目。