暗き神の鎖〈中編〉―流血女神伝

【流血女神伝 暗き神の鎖 中篇】 須賀しのぶ/船戸明里 コバルト文庫

「ラクリゼ、今までわたしを守ってくれてありがとう。わたし、いつもあなたに甘えてきたわ。危険になってもあなたが必ず助けてくれるって。でも今度は、わたしが一番危険なところで戦います」
 彼女は笑顔だった。しかしその視線は強く、迷いがなかった。
 ああ、私はこれが見たかったのだ。ラクリゼは知った。カリエが闇の中からひとりで這い上がり、「上」を見上げる瞬間を見たくてたまらなかったのだ。


 ああ、私も見たかった。カリエのその姿、見たかったさ!! なのになのに。
 鬼だ(涙
 ある程度予測はしていたけれど、ここまではっきりきっぱりと、これまでのカリエの人生を否定してくるとは。自分の力でその時々の最悪ともいうべき困難を乗り越えてきたにも関わらず、それがすべて神の敷いたレールの上だと言われるとキツいです。しかも、最後のアレは……あー、やっぱり容赦なさすぎですよ。たまらんなあ。
 一方、これまでずっと影の薄かったエディアルドが一気に浮上。もうエドーっ、エドーッ、と応援しっ放し。偉いぞ、エド。頑張れ、エド。格好いいぞ、エド。漢だ、エド!
 一番初めからカリエの傍に居続けたのはやはり彼なのですよ。彼がやらずに誰がやるのですか。
 バルアンはカリエの旦那として充分のキャラクターを持っているのですが、如何せん彼は王様です。しかも根っからの王様。どうしても立場があるし、その立場から逸脱する行動は取らない。カリエの相棒というには少々ズレがある。
 しかし、その点で帝国の重要なポディションにいるミュカも同じ立場なはずなんだけど……彼はなんちゅうか、男の子だなあ(笑)
 登場時のムカつくガキだった彼からは考えられない好青年になったミュカですけど、愛い愛い。愛でたくなります。可愛いよ、ちくしょう。
 何気に今回、各地でカリエが引っ掛けた男ども(違う)が集結の様相を呈してきてますね。トルハーンやサルベーンも出てきたわけですし。引っ掛けたっちゅうか、本人の意向だとしても女神の契約の影響ということになってしまうのでしょうが。そういう意味でも契約してないエドの行動はなんか意味ありげでもあり、エディアルドの漢をあげる結果ともなってる気がします。
 須賀さんは実に早い刊行速度を誇っているので、続きが遠からず出るでしょうから安心なのですが、それでも続き、どうなるんですかーーっ! ラクリゼー!?