輝け!へっぽこ冒険譚 3 (3) (富士見ファンタジア文庫 21-93 ソード・ワールド・ノベル)

【輝け!へっぽこ冒険譚 3】 秋田みやび/浜田よしかず 富士見ファンタジア文庫


あれ? マウナってこんなに美人だったっけ? と思わず見惚れてしまったほど、口絵のちょっとめかしこんだマウナ嬢の絵が素晴らしい。つやっぽくならない程度の健やかな色気があって、なんだかハッとしてしまった。ベッドにポンと勢いよく座り込んだ瞬間を切り取ったような、躍動感を感じさせる絵柄といい、この絵師さん、こんなにうまかったっけ?
もう一枚のイリーナのアクションシーンも凄い。このアングルでこの構図。剣の風圧が伝わってくるような迫力。
もちろん、いつものへっぽこーず特有のゆるーい感じのするコミカルな絵も、挿絵では十分堪能させてくれて、それでいてイリーナとヒースの親愛関係を一目でピンと感じさせてくれる温かい絵もあって、なんかひきだし増えた感じがするなあ。
ライトノベルの挿絵の理想的な形なんじゃないだろうか、これ。

肝心の中身の方ですけど、こちらも相変わらず品質が高い。表面的にはへっぽこーずのすちゃらかなノリで上質なコメディとしてちゃんと立脚しているんですけど、それ以上に繊細な心理面での動き、情感の描き方、人間関係の進捗や、それぞれの冒険者としての成長がごくごくさり気なく、それでいてしっかりと印象的に描かれている。
さらっと、イリーナの口からヒースが自分の帽子を直さなくなった、という言葉が流れたときには、ヒースも対して反応示さなかったもんだから、最初気付かなかったですけど、これってけっこう大きなことなんですよね。ヒースがその行為をやらなくなったことも、その事実をイリーナが口にしたことも。でも、それを大事として大層にエピソードにせず、さりとて無視するでもなく、こうしてさらりと語るところにこの物語の質の高さが伺えるんですよね。ライトノベルの軽さは、決して薄さとイコールではないという意味でも。

ヘッポコーズが冒険者として初めてかかわった事件、そこでの失敗はなんとか順調に冒険をこなして実力と名声を得つつありながらも、彼らの中では、特にイリーナの中では大きなしこりとなって残っている。その事件でイリーナたちと対決した強盗団との因縁も、この三巻で大きな転換を迎えてしまったわけですが。
……すちゃらかなノリなのに、けっこうシビアな展開持ってくるんだよなあ。でも、やっぱりこのへっぽこーずの楽しそうなノリは、大好きなんですけどね。