シアンとマゼンタ (集英社スーパーダッシュ文庫 さ 6-4)

【シアンとマゼンタ】 砂浦俊一/AKIRA スーパーダッシュ文庫


これは素晴らしく面白かった!
デビュー作(?)の【隣のドッペルさん】から注目していた砂浦さんですけど、これこれ、これだ。これですよ。
この人の作風に抱いていた期待感、それがこの【シアンとマゼンタ】には結実してました。まず溌剌とした学生らしい学園生活があり、その明るい日常から僅かに足を延ばした先にある非日常。このバランス感覚が、もともと【隣のドッペルさん】で見せていたようにすばらしいのがこの人の特徴だったんだけど、まだキャラの見せ方とかストーリーの展開にぎこちなさといいますか、発展途上のような隙間があったんですよね、このころは。
それが、今回は見事に払拭されてました。抜群に素晴らしかった♪
ありがちな、性格が極端すぎるキャラクターに走らず、かといって印象の薄い特徴のないキャラにもならず、という理想的なバランスのとれた主人公二人組、藍姫と真朱。
剣道少女で人に憑く「陰神」という邪気を祓う憑き祓いという技を祖父から受け継いだ藍姫。
事故で親と片目を失い、代わりに妖視という普通の人間には見えないものが見える能力を身につけてしまった、赤い義眼を嵌める少女、真朱。
それぞれのプロフィールを見ると、典型的な現代伝奇モノで、色々と複雑な背景と内面を持ってて、ベタな性格付けをされてそうなんだけど。
二人とも、本当に普通の、勉強と遊びに追われる日々を謳歌する中学生なんですよね。それぞれのもつ不思議な技や能力を否定も絶対視もせず、振り回されずに受け入れてる。もちろん、当たり前にあるものとしてもとらえていなくて、自分の能力に対して色々と思い考えることは二人ともちゃんとあるんだけど、別段それも【異能】という点に拘ってるわけじゃない。
二人が非日常的な事件に関わることになる件にしても、藍姫も真朱も【異能者】だから関わるんじゃなく、それぞれの意識も立場も単なる中学生の女の子、という立ち位置から踏み外すことなく、でも敢然と立ち向かっていく。
この辺のバランス感覚は、前々から素晴らしいですよね、ほんと。
藍姫なんて、もっと乱暴でバカッぽい男の子みたいなヒロインにしてしまいそうなキャラだし、真朱も頭脳担当ということで思慮深く喜怒哀楽は控えめに、表面的には愛想良くても実際は何考えてるか分からないキャラ付とかしてしまいたくなりそうなんだけど、そういう極端なのはうまいこと回避してるもんなあ。
藍姫は、ボーイッシュな健康系少女の女の子らしいかわいらしさをこれでもかと見せてくれるし、真朱も明るく悪戯っ気たっぷりの無邪気な顔を素の性格として見せてくれるし。
いや、なんにしてもこの二人の気取らない掛けあいや、かけがえのない親友としてお互いを想い合う関係が読んでて楽しくて気持ち良くて、良かったですよーー。
面白かった。これは五つ星♪
新シリーズとしてこれからも続刊出るみたいですけど、これはまた期待せざるを得ない。
藍姫の幼馴染にして黄々の兄貴である黄治くん。主人公にしてヒロインである藍姫と真朱の脇で出番あんまりなかったけど、けっこう立ち位置としては面白そうなところにいるので、恋愛方面にもちょっとおもしろそう。
ああ、でもまだみんな中学生だし、その辺はまだまだかなw

気持ちいいくらい素直で快活、ちょっと単純なところもあるけど健康的で、女の子らしいかわいらしさにも満ち溢れてる藍姫。
ちょっと捻くれてて