サーベイランスマニュアル (GA文庫 せ 1-1)

【サーベイランスマニュアル】 関涼子/真田茸人 GA文庫


冒頭、読み始めにはわりと主人公がへたれた間抜けた反応してたので、コメディタッチのドタバタ劇かと思って読み進めていったら、これがどうして。
かなりヘヴィな題材じゃあねえですかい。
ウィルスの発症結果こそ獣化というファンタジックなものだけど、その感染経路や保菌者への接し方のあれこれは、ゾンビ系のそれよりもむしろエイズとかかつてのハンセン病にまつわるようなそれを強く意識したような印象を受ける。
かなりデリケートな題材だし、深く練り込んでいるというところまではいっていないけど、寧や宝、巴が時折垣間見せる自分たちが抱えているものに対するモノへの繊細な反応は、けっこう丁寧に描写されているように見える。
うん、心情描写についてはなかなか引き込まれるもののある作品だった。
亮輔の事件や巴たちへの向き合い方も、最初からけっこう真摯に向き合ってて、このぐらいまで向き合えたらそれでナアナアに済ます作品が多い中でそこからさらに一歩二歩と進ませるところはなかなか。
ああいう事件を用意しなければならなかったのは仕方がないとはいえちょっとすっきりしないところだけど、とにかく主人公のまじめさ、ひたむきさは好感度が高かった。もうちょっとやさぐれてたり、斜に構えてた方が愛嬌があって私は好きですけど(笑
巴の言動は、結局最初から最後まで不愉快でしたけど、寧の巴の本心への細かいフォローは確かに亮輔にも、読者である自分にも効果的でしたね。あれがなかったら、なんだこいつ、で終わってたかも。
とりあえず、こいつを主人公にしなかったのは正解かもw とにかく後ろ向きすぎで、ダメだ、こいつw
実際のところ、ヒロインかと思われた寧の恋情的気持ちは巴の方にあるみたいなので、その辺ちゃんと受け止めて捨てばちなところを改善してほしいところ。境遇の重さはわかるんで、ある程度の前向きさを手に入れた時、キャラがどう変化するのかなかなか興味深そうだし。
亮輔はきっちり宝というヒロインげっとしてるしなw
何気にロリッ子ですね、両方とも。朝緋姉ちゃんは、ああなっちゃったし。
あの展開はまったく予想してなかったので、びっくらこきましたけど。どれほど親しい相手でも、好いた相手でも、その人の全部を知っているわけではない、というのは当然のことなんでしょうけど、そのギャップを知ってしまうと、なんとなく悲しい気持ちになってしまうのは自分だけなんでしょうかねえ。幻想の崩壊、ってやつですか。でも、今までみてきたその人の顔が失われるということではないはずですし。でも、理解しきってあげられなかった、というのは後悔を抱えるよなあ。
おもしろかったです。次回作も迷わず購入の方向で。