C3-シーキューブ 3 (3) (電撃文庫 み 7-9)

【C3-シーキューブ 3】 水瀬葉月/さそりがため 電撃文庫


表紙は徹底してフィアで突き進むのか。
そろそろ他のキャラでもいいと思うんだけど。紐パンをはけとは言わんからw

中身の方ですけど、巻を重ねるごとにメキメキと充実して面白くなってきた。これは、著者の代表作になるんでないだろうか。
フィアと春亮の関係はすっかり安定。揺るぎない信頼関係が醸成されて、不安定だったフィアの精神面も春亮の存在に支えられて、以前ほど暴走や情緒不安定状態に陥ることもなくなったように思える。とはいえ、フィアのメンタリティはまだ自分の出自と呪いに対しての向き合い方の方に比重が傾いていて、春亮との関係ってあんまり恋愛臭がしないんですよね。時々、嫉妬っぽい感情を閃かすものの、傍若無人の我儘に見えてフィアってこれで道理をわきまえてる子だったりするので、空気も読まずに無茶苦茶なことを言い出して迷惑を振りまくようなことはしないので、その嫉妬もあんまり目立ったことには今のところなっていない。彼女自身がまだ、春亮に対して明確な恋愛感情を抱いてない、もしくは自覚していない状態だからかもしれないけど。春亮の方も、フィアのことは大切にしてるけど異性に対してのそれっぽい態度じゃないんですよね。どちらかというと、兄妹みたいな関係で安定してしまっているのが、今の二人の関係のように思える。
それに比べると、むしろ恋するヒロイン街道を驀進しているのが錐霞なんじゃないだろうか。
今回、遂にはっきりと明言しちゃいましたしねー♪ いや、その宣言のシチュエーションがまったくカッコいいんだ。とても告白とは思えないくらい。これが、春亮に直接告げるシーンじゃないのが非常にもったいない(笑
これまでの隷属的身分や立場への決別と、それに甘んじていた自分に対する覚悟の表明。そこに至る、あまりに明瞭で単純で力強い理由。この時の錐霞には惚れたわ〜〜。
それでいて、今の錐霞はその想いを春亮に伝えることも、成就させることも一切望んでいないんですよね。叶わぬ恋と断じている。
内心の燃え上がるような熱い想いと、それを決して表に出さない抑制的な態度。春亮の前では頼もしい委員長で信頼できる禍具の使い手で仲間という姿を崩さず、でも時折垣間見せる弱さや本心。物凄い魅力的なんですよね。個人的には、彼女を応援したい八岐です。
彼女を苛んでいるあの重たい呪いも、春亮の特性を考えれば彼と一緒にいると解ける可能性ありそうですし。あれは、一生涯背負うにはキツすぎる呪いですよ。えっちいことは出来そうですけどw
もう一人、明確に春亮に恋愛感情を抱いているだろうヒロインであるはずのこのはは、出遅れてるなあ(苦笑
彼女、一巻につきほぼワンシーンの勢いで垣間見せる、過去の本性が今のキャラクターとの物凄いギャップと相まってすごく好きなんですけどねえ(苦笑
恐らくは春亮と一番深く近しい関係であるのは、以前の春亮が「この姉」という名で呼んだ時のシーンでがっつり印象づけられたんですけど(このシーンもかなり好き)、近しいだけに難しいのかなあ。
私は、このかの過去や春亮の関係を、投げ売りせず、ほとんど一瞬にザックリと深く刻み込むようなこの描き方、かなり好きで気に入ってるんですけどねえ。いずれ、二人の関係は踏み込んでくるでしょうし。

と、メインとなる春亮と三人娘のキャラクターもしっかり立ってきたところで、この三巻で新キャラ投入。
フィアの念願であり望んだ形。呪いが解けた禍具の実現例となる、人形原黒絵。もともと春亮の家の住人だったのが放浪癖のせいで小旅行に出ていたらしい。見てくれはフィアよりも小さいのでイメージしにくいんですけど、かなり落ち着いた性格で大人びてるし、実は収入のある社会人。愛嬌もあってみんなをからかったり、じっくり悩み事の相談に乗ってくれるような余裕や懐の広さもあって、夜知家の姉役的な立場になるんじゃないでしょうか。ちっちゃくて可愛いので、なかなかそう見えないんですけど(笑
彼女とフィアの関係がまたいいんですよね。黒絵は一貫して鷹揚とフィアを可愛がってるのに対して、フィアは最初の対面がひどいことになってしまったので、最初のうちは警戒しつつ、段々となついてくる感じが(笑
姉役と言いつつ、黒絵は決して上の立場から見下ろしたり、お姉さん風を吹かせたりせず、自然体なのだからか、あんまり姉妹風には見えないんだけど、でも親友というよりはやっぱりとても仲の良い姉妹みたいで、いいんですよね。うん。
呪いの解けた黒絵という存在は、フィアにとって目標にもなるわけですし。同時に憧憬の対象にもなるわけか。

でも、今回は黒絵というフィアの想いを成就させたような存在と対比するような<敵>が登場する。
今回はまったく、禍具の呪いというフィアを苛む問題を今までとは別の方向から攻めてきた感があるけど、これが上手い。本当に、話の持っていきかた、構成の練り方とか見せ方とか、メキメキうまくなってる感じがするんですよね。登場人物たちそれぞれの思いも、今回のエピソードを通じてくっきりと読者にも強く伝わる感じで醸成されてきた感もありますし。
この著者の得意技というか、肝ともいうべきエログロ、狂気や異常性といった部分も、どたばたなラブコメ的な雰囲気と相殺することなく、上手く共棲してますし。
これは、面白くなってきましたよッ!!