断章のグリム (7) (電撃文庫 (1574))

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……orz

いやね。泡禍が絡まない表題作の【金の卵をうむめんどり】の話が一番悲惨でグロくて救いようのない話ってのは、酷いハナシじゃないですか?
前の二つの短編が、なんとか前向きな形で終わる話だっただけに、過去編でもある最後の【金の卵をうむめんどり】が、あんまりにもあんまりな話で、妙にヘコんでしまった。
なまじ、やたらと面白いもんだから困るんですよね。
というわけで、今回は短編集。ただし、短編だからと言って侮るなかれ。
こと、ホラー描写については全力全開。特に【よくばりな犬】のあの手は反則。
わたし、こわくて泣いちゃうよ?
もう「手」は勘弁。痛いわ怖いわ、毎回毎回この著者のこの種の描写能力に関しては悲鳴をあげるしかない。もう異常です、これは。
自分、ほとんどホラー小説って読んだことないけど、みんな甲田学人氏ばりに怖いの? とてもそうは思えないんだけど。

ところで、今回は初の過去編ということで、まだ泡禍に出会う前の雪乃と風乃が出てくるわけですけど……べ、別人だ(唖然
え? 雪乃ってこんな娘だったの? 全然違うじゃない。……いや、そんなことはないのか。現在の雪乃と過去の彼女とはまったく別人みたいに見えるけど、そうかうん、極端な変容があったとしても原型として本来の彼女がこういう女の子だったというのは決して違和感がない。確かに、現在の雪乃からもチラチラと原型である彼女の要素は垣間見えている。
むしろ、驚くべきは風乃の方かもしれない。
普段の言動や、雪乃が彼女に向ける憎悪からして、どれほど破綻した人間だったのかと思ってたけど、思っていたより遥かに普通のメンタリティの持ち主だったんじゃないか、これは。もちろん、歪みがありそれが通常の生活を送るのにも、普通の少女として生きるにも難しい状況に置かれているのも確かだけど、自分の歪みを自覚し、周囲を嫌いながらも嫌ってしまう自分を嫌っているあたり、物凄くまともなような……。

いや、でもそれ以上に【金の卵をうむめんどり】の主人公であった翔花は普通の少女であったわけで。
死んだ卵と雛と怪物か……。
結局、過去に何があり、風乃はなにになってしまったんだろう。
ただ、雪乃は自分の世界を壊されて、でも怪物になろうとして未だになれずにいて、そんな彼女を風乃は見守っている。
いったい、風乃の真意はどこにあるんだろう。わからんなあ。
わからんと言えば、主人公の蒼衣がやっぱり一番わからんけど。
やっぱり、一番異常で怪物のように見えるのって、こいつなんだよな。
未だに普通の日常が壊れていないって、おかしいでしょ、これ。
一番普通で人畜無害でおとなしいこの男が、話が進むにつれて一番不気味で恐ろしい存在になっていきそうな、そんな予感。