Under the Rose (2) 春の賛歌

【Under the Rose (2) 春の賛歌】 船戸明里 バースコミックスデラックス


うあああああああ(絶句

なんか、導入が前の巻と一緒になってしまったけど、絶句するしかないですよ、これは。煮えたぎったコールタールのような凄まじい情念の描写に、絶息してしまう。
てっきり、主人公はライナスだと思ってましたけど、彼はあくまで「冬の物語」の主人公だったのですね。冬の物語はこの二巻でひとまずの終わりを迎え、春の賛歌という名を与えられた次なる物語が始まるわけですか。
それにしても、それにしても、これでもかこれでもかと容赦のない展開で、死にそう。ほんと、死にそう。
グレースの死の真相のあまりの残酷さに、ライナスが受けた衝撃はいかばかりか。まだこいつ、13歳なんだぜ? その所業のあまりの傲慢振りに忘れてしまいがちになるが、彼はまだ13歳の子供にすぎないのに。
なんでだろう。この物語に出てくる人達って、みんな根本的なところではまったく善良な人間のはずなのに。ロウランド伯爵家は、たびたび言われているとおり、この時代においては驚くほど開明的で、本来なら非常に過ごしやすい場所のはずなのに。
すれ違い? 時代? なにがこんなに、息苦しいんだろう。せめて、この冬の物語の終わりに、ライナスがアーサーの愛情を認め、受け入れてくれたことがとても重たい救いのように思える。いったん距離を置くことを選んだのだとしても。
人と人が分かり合うのはなんでこんなに難しいんだろう。その人の気持ちが、そのまま伝わったら、この家にこびりついている歪みや痛みの大半はすぐに消えてしまうはずなのに。
人の心は難しい。それを、一つ一つ乗り越えて、近づいていくことができるのか。冬の物語は、その方向を示して見せたのだと、今は信じたい。
そして始まる「春の賛歌」
主人公はレイチェル・ブレナン。家庭教師としてロウランド伯爵家に現れる牧師の娘。
打ち解けないロウランド家の子供たちに、彼女は真摯に向き合おうとするのだが……。

人の抱える業の深さに、溺れそうだ。