黄昏色の詠使いVI  そしてシャオの福音来たり (富士見ファンタジア文庫―黄昏色の詠使い (174-6))

【黄昏色の詠使いVI そしてシャオの福音来たり】 細音啓/竹岡美穂 富士見ファンタジア文庫


二月に出版された五巻から僅か二か月での新刊ということで、早いなあと感心していたら、短編集でした(苦笑
とはいえ、ポツポツと見逃せない重要な情報が混ざってるんですよね。
短編それぞれの時系列が記されてないので、最初混乱しましたけど、一応冒頭に季節などが描写されてることもあり、おおむね判別はできそう。変に時系列シャッフルされてないし。

赤奏【あなたに送る小さな黒歌】
ネイトが転入してきてからこっち、クルーエルのネイトへの感情って案外見えにくかったんですよね。最初から、ネイトに対しては熱心に構ってたし、その割には異性に対する情熱みたいなのはあんまり感じられず、柔らかい包み込むような温度、お姉さん役としての態度として一貫してたように見えていたので、あのキスをせがむシーンには不意打ちでガツンとやられたんですよね(苦笑
そんなクルルが、ネイトへの感情を自覚する話がこれ。てっきり、クルルもあの瞬間までネイトに明確な感情を自覚していたわけじゃないと思ってたんですけど、そうじゃなんかったのか。いやいや、ネイトが年下でまだ12,3の子供というのもあるんだろうけど、クルルって自分の恋情に対して余裕ありますよね。

緑奏【探せ、そいつはあたしのだ!】
本編ではなかなか見られない脇役衆の新たな一面が伺えるドタバタコメディ。というかミオ、本編とかーなりキャラ違うんですけど!(笑
こんな危ないヤツだったのか。もっと健気でまじめで貧乏くじ引いてしまう幸薄いタイプだと思ってたのに……完全に暴走して回り巻き込んで自分だけ平然としてるタイプだ、これ(w
そして、エンネ先生……なんなんだ、その暗黒精神面というのは(汗
若かりし頃のエンネ先生は、どうやら邪悪というか黒ミサひらいて悦に浸ってそうな暗黒な人だったらしいw

青奏【アマデウスを超えし者】
てっきり、名詠を学ぶ学校であるトレイア・アカデミーにおいて、こと武術についてはエイダだけがずば抜けた実力を有しているのかと思ってましたけど……違うのか?
どうやら少なくともあと二名(女性)、エイダに比肩する実力者がいるらしい。どちらもゲテものっぽいので、本編にどれほどからむかわかんないけどw

白奏【花園に一番近い場所】
ネイトが主人公である以上、絶対あるだろうなと思ってた女装ネタw
なんだけど……、これコメディ回にも関わらず、非常に気になる点があるんですよね。
なんで、女装したネイトが、イブマリーそっくりなんだ?
それも、イブマリーと同窓であるミラー、ゼッセル、エンネの三先生が揃って見紛うくらいに。
ネイトの話では、イブマリーと彼には血の繋がりはなく、ネイトはイブマリーによって孤児院から見受けされ、育てられたはずなのに。
ネイトとそっくりなシャオという少年の存在といい、ネイトの出自にはかなりまだ大きな秘密が隠されているのではないだろうか。

黄奏【走れ、そいつはあたしのだ!】
とりあえず、【イ短調】がダメな人たちの集まりだということはよくわかった。ものすごくよくわかった。
ダメだ、こいつら。
そして、短編通してわかったのが、クルーエルが何気にそつなくおさえるところ押さえてるしっかりものの要領良し、ということか。ちゃっかり暴走の外にいるか、巻き込まれても痛い目みたいところに上手いこと逃げてるし(笑
頼りになりますw

虹奏【また会う日までの夜想曲】
カインツとイブマリーの……これはもうラブストーリーと言ってもいいでしょ。お互いにひたすらに目指し登らなければならない頂が見えていたからこそ、お互いに普通の恋人として想いを重ねることを選ぶことはしなかったにしろ、こんなに深く固く絆が結ばれていたんなら、それはもう恋人以上に心を重ねた関係だったんだろうなあ。
不思議と、悲恋という感じはしないんですよね。距離も存在もこえて、この二人は傍に居続けているような気がします。少なくとも、カインツがネイトというイブマリーの想いを継ぐ者の存在と、それを見守る者の存在を認識した瞬間から。
それにしても、コートの事といい、卒業式での無茶っぷりといい、カインツのイブマリーへのべた惚れっぷりは想像以上でw

そして、第二楽章へと繋がる幕間
禁律・空奏【そしてシャオの福音きたり】
結局のところ、未だにクルーエルが負っている運命にしても、シャオの正体も、ネイトとイブマリーの使う夜色名詠にしても、何も明らかになっていないんですよね。それどころか、第一楽章で起こった様々な重大事件。その真相も明らかになっていない。
まさしく、ここまでの5巻って起承転結の起。序破急の序でしかないんですよね。そして、ここからこそ、本当に始まるこの黄昏色の詠使いの本章、というわけですか。

……よし、盛り上がってきた!