傷物語 (講談社BOX)

【傷物語】 西尾維新/VOFAN 講談社BOX


アニメ化も決まった件の【化物語】で、幾度か触れられていた吸血鬼「忍」との馴れ初めであり、忍野メメとの出会いであり、羽川翼との友情の始まりを描いた前日譚。
こう言っちゃなんだけど、羽川が油断してたのはこれ仕方ないよなあ。春休みにこれだけの非日常を阿良々木と共有してたんだから、そりゃあ油断する。
まさかいきなりポッとでの戦場ヶ原ひたぎなんていう女に電光石火で持ってかれるなんて、夢にも思わんかっただろう。【化物語】を読んだ時は羽川ちゃん、そりゃあたらたらしてたあんたが自業自得だ、と思わないでもなかったんだけど、実際油断だったんだろうけど、あんだけの大事件に首を突っ込んで、友達いない阿良々木とあんだけ仲良くなって、しかもあげくにあれこれとエロいことをされて、具体的に言うとパンツ二回も見られて見せて、眼の前でパンツ脱いであげちゃって、ノーブラの胸を揉まれそうになってエロエロな言葉責めをされて、ブラまで持ってかれたとなったら、そりゃあ油断するサア。
普通、そこまでやられておきながら、トンビにアブラゲさらわれるとは思わんですよ(笑
というか、あそこで阿良々木くんがヘタレこかないで揉むもの揉んでたら、歴史変わってたんだろうな、うんうん。
委員長、あんたはあそこで強引にも揉ませるべきだったのだよ、まる。

思えば、【化物語】における吸血鬼「忍」と阿良々木の関係というのはあまりに意味深すぎて、計り知れないものがあったんだけど、なるほどこういう顛末だったのか、と頷くしかない。
この【傷物語】を読んでから【化物語】の彼と彼女のやりとりを見返すと、かなり印象変わってくる。阿良々木の「忍」への態度は大袈裟すぎるものがあるとすら感じていたんだけど、キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレードと阿良々木暦が辿った変遷と結末を思えば、彼が彼女にああした想いを抱くのも、なるほどそういうものなんかもしれないなあ。
誰もが不幸になるしかなかったバッドエンド。でも、忍野の言い分を借りるなら、これはそれなりにバランスの取れた結末だったのでしょう。
実際、バッドエンドで終わったこの物語は、だけど【化物語】へと続いている。その結末は不幸でしかなかったとしても、取り返しのつかない終極ではなかったわけだ。ならば、バッドエンドであり続けるわけでもない。実際、阿良々木は戦場ヶ原ひたぎと出会い、キスショットは忍となりつつも阿良々木のそばに居続け、羽川翼は育みつつあった恋を友情と引き換えに喪うというそれぞれが受けた不幸から、さらなる変化を迎えつつある。
なら、この結末もそう悲観するものでもないのだろう。決してハッピーエンドでないのだとしても。
相変わらずの真実が何度もひっくり返る怒涛の展開に、気持ちの良い酩酊感。
堪能し、楽しんだ。すなわち、最高に素晴らしかったということだ。
素直にアニメ化も楽しみにしておこう。