ラッキーチャンス! 3 (3) (電撃文庫 あ 13-22)

【ラッキーチャンス! 3】 有沢まみず/QP:flapper 電撃文庫


ああ、ああ、なんということでしょう。初登場の二巻では男女の営みのなんたるかも知らなかったあの天草沙代さんが、なんか公式に<性の知識量ランキング第1位>に認定されちゃってますよ!(爆笑
沙代っち、勉強しすぎ!!

おおむね短編集的なノリだったこの巻ですけど、天草沙代がほぼ本格的に物語に参入し、さらには校長の契約精霊であるトトという新キャラも登場。
有沢さんって、むしろキャラ増えてきた方がガンガン物語が盛り上がってくる傾向があるから、このヒロイン衆の充実は確実にいい方向に転がっていきそうな予感。
校長のサモン=時二郎も、「カッコいい変態」として今回さらにキャラ立ててきたし。やっぱり、老若男女問わず人気者なんだ、この人。
なんだかんだと頼りになるし、にじみ出る信頼感みたいなものもあるし、懐も深そうだし、やっぱりカッコいいオカマキャラは好きだなあ。
ただ、なかで二ノ宮さんだけが「普通に」いい子なのが、逆に存在感という面で足引っ張ってる感があって、ヒロインとしてけっこう苦しい。
イイ子キャラとしては、純心無垢なキチがずば抜けてますしねえ。ただ、今のままだとキチは、メインヒロインとしてはいささか立場が微妙なんですよね。作中、さらっと短くではありますが、時二郎がキチとトトを一纏めにして、雅人との関係について述懐しているシーンがあるんですが、確かに今のままだと異性としての認識以前に、妹同然の身内ではあるというのとは別に、人間と神様という存在の隔たりみたいなものが物語の雰囲気の中にあるんですよね。当人たちはその辺、まったくそんな隔たりみたいなものは感じてないんだろうけど……、いや雅人は悪い意味ではなくキチとちゃんと福の神として捉えてる部分はあるのかも。こいつ、かなり賢明なやつみたいだし。……いや、そうなると逆に【いぬかみっ!】の主人公である啓太の持ってた、いい意味での頭の悪さがこいつにはないわけか。やっぱり、雅人って薫に似てるところある気がするなあ。
そうなると、一躍メインヒロインとしての役目をかっさらいそうな役どころにいるのは、二ノ宮さんではなくむしろ沙代の方な気がしてきた。なんか、意味深な予告もされてるし。
とはいえ、キチも今のまんまとはいかないでしょうし。思えば、ラストの展開もその辺の隔たりを埋めるための伏線なのかもしれない。
ただ、その隔たりを埋めるということは、キチの無垢性を失わせる要因にもなりかねないんですよね。今までも嫉妬めいた感情はにじませてますけど、生まれたての福の神である彼女には、今のところちゃんとした負の感情はまだないはず。真っ白な彼女に、そうした負の感情が宿ったとき、悪意や憎しみを覚えたとき、いったい何が起こるのか。
意外とキチの魅力である純真さに、どこか危うい感覚が漂っているのは気のせいでしょうか。

で、ラストエピソードに、作中ところどころで匂わせていた伏線を開陳。
そういえば【いぬかみっ!】って、啓太は高校生にも関わらず学園生活のシーンってほとんど皆無だったんですよね。この人の書く学園ラブコメってもしかしたら初めて見るのかも。
恐らく、沙代さんも満を持して参入してきそうな感覚だし、これは次の巻素直に楽しみですわ。