絶対可憐チルドレン・THE NOVELS~B.A.B.E.L.崩壊~ (ガガガ文庫 み 4-1)

【絶対可憐チルドレン・THE NOVELS〜B.A.B.E.L.崩壊〜】 三雲岳斗/椎名高志 ガガガ文庫


……劇場版?
いやいやいや、これは正直驚きました。絶チルの小説化ってことでわりとヌルいコメディタッチの話になるのかと思ってたらどうしてどうして。
ガチで大事件。しかも、かなり重厚でヘヴィな内容。伊達に、自分から書かせてくれって言いだしたわけじゃなかったのか。これ、本気も本気の三雲岳斗だ。
もともと、この【絶対可憐チルドレン】って、ギャグ漫画の仮面をかぶりつつその内実はと言うと、一般人と超能力者の確執みたいなものが作品のテーマのかなり深い部分に食い込んでる、ある種の人種間対立に基づく処々の問題を提起してる作品でもあるんですよね。それを、作者の椎名先生の絶妙なさじ加減でコメディとして気軽に笑って読める作品になってるわけですけど、時折ドキッとするほど鋭くそれらのテーマに食い込んでくる瞬間があるんですよね。
この小説は、まさにその辺をメインに取り込み、本気でガツンガツンとぶつけて組み上げてきた、まさしく大作でございますよ。ものすごい読み応え。というか、この絶チルってギャグ要素を取り除いてシリアスに徹するとここまで凄絶な内容になるポンテンシャルを秘めてたのか。正直、クライマックスの緊迫感は尋常じゃないです。漫画だとギャグで落として一息入れるところが、そういうの無いんだもんなあ。あの間合いは椎名先生にしかできんものだから、真似しようってのがそもそも間違いですし、これはこれで手に汗握るアクション大作のクライマックスそのもので、個人的には大満足だったんですけどね。なにより、一人の男の真摯な願いと、それに応えんとする健気な少女の想いが、エスパーと一般人の関係をめぐる妄念と陰謀に複雑に絡み合って引き起こされる、歯応えばっちりの大事件、大活劇、アクション巨編ときたら、もうたまらんですよ、たまらん。

相変わらず、【ランブルフィッシュ】シリーズなどで見せたように、多数の登場人物に過不足なく見せ場を用意できる三雲氏の腕も衰えを知らず、絶チルの主要なメンバーほとんどオールスターで大活躍。口絵見りゃわかるでしょうけど、本当にオールスターです。ナオミちゃんや賢木といったメインどころだけでなく、ザ・ハウンドの二人やコメリカ合衆国のエスパーチーム、パンドラの澪やマッスルといったところまで。原作の漫画だってここまで一編にこんなにたくさん出たことないっすよ。しかも、本当にそれぞれ活躍の見せ場ありますし。
加えて、小説オリジナルキャラクター。落葉と威河。片やチルドレンと対照をなすヒロインとして、片や圧倒的な存在感を見せつけたボスキャラとして。二人とも素晴らしい存在感を示してて、いや素晴らしかったです、って繰り返してしまった。

想像していたよりも遥かに素晴らしい出来栄えで、絶チルファンとしても三雲ファンとしても大満足の一作でした。しかも、これなら絶チルをまったく知らない人でも完膚なきまでに楽しめると思います。世界観やキャラクターの相関なんかもスルリと理解できるように書かれていますしね。なので、ノベライズだからと二の足を踏んでる人は躊躇わず手に取ってまったく問題ありません。そして、これを機会に原作の絶対可憐チルドレンにもハマってしまえ、とww
これは全力全開でお勧めです。面白かった♪