Landreaall 12 (12) (IDコミックス ZERO-SUMコミックス)

【Landreaall 12】 おがきちか ZERO-SUMコミックス


う、うおおおおおっ、そうか、そういう解釈があったのかッ!!
アンちゃん、あんた凄い、凄いよ! 愛してる! あんた、最高だ!
あの一言で、彼女はDXがもしかしたらあのまま捨て去ってしまいかねなかった彼の本質を、見事に掬いあげてくれただけじゃない。ガツンと、叩き返してくれた。
そう、あの場面。DXは傭兵である自分を捨てて騎士として生きることを選んだんじゃなかったんだ。
あなたが骨の髄まで傭兵だからです。

そう、DXは骨の髄まで傭兵であるからこそ、王位継承者であり騎士の家計である自分を利用することを、最後の最後で躊躇わない。
ああもう、このアンちゃんのDXへの提言を見たときには身震いした。観念のパラダイムシフト。凄い、もう芸術的だ。
いやいや、アンちゃんの立場からしたら、前巻でのDXの宣言はまさに彼の首根っこを押さえたようなもの。非公式な場とはいえ、他国の王族相手に自分の王位継承権と国威を盾に意見と要求をぶつけたことは、誤魔化しようのない公人としての活動で、王位継承権者という立場から逃げ回っていたDXからしたらそのフワフワとした立ち回りを繋ぎとめられる致命的な行動だったはずなのに。
まあ、キングメーカーとしての立場よりもDXに対してはアンちゃん個人の趣向で動いているので、DXという個人を伸ばそうと思えば今回の件で首に縄をつけるのは逆に成長を殺してしまう……というか、縄つけた分引っ張り回されて逆に危ないか。ありゃあ、地上を駆け回る獣どころか、リドの兄ちゃんらが評するように、旋風鳥の雛とかドラゴンの幼生みたいなもんだからな。籠で囲えるようなものなんかじゃなく、紐や鎖でつないでも容易に引き千切って飛んで行ってしまう類いもものだ。下手に縄を括ってたら、持ったまんま空高く飛ばれて手を離せなくなってしまう。
……それとも、手を離せなくなるという意味では、もう手遅れなのかも。
にしても、今回のアンちゃんの政治的手腕は惚れぼれするくらいの鮮やかさ。奔放で予想のつかないDXの行状に目を剥いてギャーと絶叫仰天しながらも、事が済めば見事にさんざん引っかき回された状況を平らに撫でてしまうんだから、この人はこの人でとんでもないんだよなあ。
なんだかんだとこの二人、いいコンビだし、DXも今回の一件を通じてアンちゃんに対して信頼感を深めたんじゃないだろうか。
六甲の言う通り、あの宣言の時の「してやったり」の顔はまずいと思うけど(苦笑
でも、DXからしたらああいうときどき露骨に本心を剥き出しにしてしまうアンちゃんの隙というか、ギラギラしたところが愛嬌だと思ってるみたいだけど……おいおい(w

それにしても、いったいどうなることかと思ったけど、アンちゃんのおかげで外交問題もDXの立場の問題も思いのほかえらいことにならずに済んだなあ。本当に、前巻読み終えた段階ではいったいどうなることかと思ったけど。
リドと兄上の関係も、母上の介在もあってなんとか上手く収まったし。ああ、こっちでもアカデミーからの勧告・要請を手札にアンちゃんが取りまとめたおかげで、リドのアカデミー復帰問題とか五十四さんの身柄の問題とか上手く解決できてて……いや、マジで今回アニューラス女史大活躍だな、おい。
ウールンの君主としての考え方は、DXにも同じように考えろというのは所詮無理な話だけど、ひとつの指針としてDXに色々と考えさせるものがあった模様。それを一つの糧として、彼なりの生き方と言うものを構築していけばいいんだろうけど……ほんと、DXが王様になったとき、どんな王様になるのか、アンちゃんじゃないけど、見てみたいなあ。
このDX・ルッカフォートという少年ほど、興味深い人間はなかなかいないよ、たとえフィクションの世界でも。いや、フィクションの世界だからこそというべきか。


と、ウルファネアの問題が解決した途端、DXのいないアカデミーがえらいことに。
えらいことにーーっ!!
アカデミーに襲来する謎のモンスターの群れ。なんとか女子寮に逃げ込みたてこもるものの、王都を守るはずの騎士団は折悪く別のモンスター群が大発生していてこれの駆逐に大半が出払っており、緊急の救出は不可能な状態に。重篤者もおり、このままたてこもっているわけにもいかず、アカデミーの生徒たちは急遽、騎士団を結成してこの危機に対処することになるのだが……という顛末なんだけど。
こりゃ、えらいこっちゃで。
学生といっても、色々立場の違いもあるし、身分の違いもある。これをまとめるとなると大変なことで、実際最初の段階でもめ事も起こってるわけで。
この大アクシデントをDXのいない間にやるかー!
敢えてやるかー!
五十四と六甲というニンジャもいないし、DXとリドという屈指の実戦派実力者もいない状況。
こうなると鬼札になるのは、イオンなんだけど、女生徒という立場上、彼女って実家にいる時みたいに奔放には動けないからなあ。集団に組み込まれるわけだし。
いや、密かに残ってるメンバーで一番強いのってイオンなのかもしれないんだけどねえ。武術の腕だけじゃなく、ニンジャのスキルもあるわけだし。なにしろ、DXらとともにドラゴンとガチでやりあった娘だもんなあ。
とはいえ、ティティとカイルが思いのほか頼もしい。思いのほかというのは失礼か。彼らは普段から頼もしいしねえ。ただ、ティティにしたらここで目立つのは不本意なのかも。彼の王権に対する立ち位置はいまいちまだ定かでないから、なんともいえないけど。
うわああ、ここで切られるとキツいなあ。というのは毎度のことなんですけどね。
ああ、もう最高でしたッ♪ 至福・悦楽♪