身代わり伯爵の脱走 (角川ビーンズ文庫 64-5)

【身代わり伯爵の脱走】 清家未森/ねぎししょうこ 角川ビーンズ文庫


ほんとにいい意味で立ち止まらない暴走娘ですね、このミレーユ嬢はッ。止まると死ぬのか? 死んでしまうのか?
前回のリヒャルトの思いがけぬ対応に、悶々と思い悩むミレーユなのですが……あんた、年頃の乙女なら悩むにしろ寝室に篭るとかしなさいよ。
三日三晩厨房に篭ってひたすら徹夜でビスケットを作り続けるとか、いやまあそれは百歩譲っていいとして、それでリヒャルトのことを考えながらついついビスケットを作ってしまっているというシチュならまだ納得……できんけど! ひたすら「無……無無無無」とか「ここにはあたしとビスケットだけ。あたしはビスケットが大好き。ビスケットしか目に入らない――――」とか。
悩め、せめて大人しく悩めよ! 
こんなに全力全開で現実逃避に暴走するお嬢は見たことないよ(笑

ミレーユの素性が内外に露見し、公人としてジーク皇太子に拘束された際も一瞬もじっとしておらず、自力で脱出しやがるし。しかもこっそりじゃなく、騎士団相手に正面突破(笑
落ち着け。おまえ、ほんと落ち着け。
貴族の令嬢らしからぬ乱行とか騎士団の人行ってますけどね、庶民の娘だってこんな無茶苦茶なのいませんから。庶民を誤解しないでください、庶民はもっと普通です、限りなく普通ですw
ジュリア母ちゃん、あんたどういう教育してきたんだほんとに。どう考えてもあんたの育て方の問題でしょうに、なに今更ショック受けてんだww

と、いつもにも増して暴走しているミレーユですが、物語の方は以前から不気味に胎動を続けていたシアラン公国関連の懸案が、ミレーユの婚姻問題から表に浮上してきて、一気にシリアス展開に。
てっきり、内外に存在が露呈しシアラン公との政略結婚が持ち上がったミレーユの婚姻問題が中心に物語が進行すると思ったのですが、これが思わぬ方向に。
そうか、ジークってばそんな構想を抱いていたわけか。実際、これってまったく問題らしい問題なく関係者にとってもいいことずくめで、素晴らしい政略のはずなんですが……リヒャルトはこれを拒絶してしまうわけです。
リヒャルトの過去を考えれば、こういう危うい決断をしてしまうのも無理からぬこととは思うのですが、もどかしいったらありゃしない。
ミレーユは、リヒャルトのことを完全に好きで、それを論理的明確さをもって自覚するまで首の皮一枚のところまで迫ってる状態。その上、リヒャルトが自分にとってどういう存在かわからないままでさえ、自分の身の危険を覚悟してまで後を追いかけるぐらいの意気がある。
もし、リヒャルトがあと一言、ほんの一言でいい、ミレーユが足踏みしている原因である勘違いを正しさえすれば、二人の関係を押し留める障害は一切なくなるというのに。
今のミレーユなら、シアラン公国がどんな危険な魔窟だろうと、リヒャルトへの気持ちがはっきりしたなら、彼のパートナーとして一片の怯みもなく殴り込んでいくぐらいの気概はあるだろうに。
ただ、リヒャルトはそうした危険な場所にミレーユを連れて行きたくないからこそ、寸でのところ自分の気持ちを抑えているわけですから、この首の皮一枚の擦れ違いは、ある意味現状での必然ともいえるわけで……もどかしいなあ!
結局さ、リヒャルトがどんなことからもミレーユは自分が守り通す! っていう覚悟さえあれば、全部解決することなんですよね。
男の覚悟が足らんのですよ、覚悟がww
そのくせこの野郎、寝てるミレーユに不埒な真似を、不埒な真似を(どんがらがっしゃーん

とにかく、舞台はシアラン公国に。
むしろ、次の巻こそタイトルが【身代わり伯爵の殴り込み】になるんでなかろうかと期待するところでありますが。
今回、フレッド兄ちゃんがなんか本気で怒ってたっぽいのにはっきりとした動きが見えなかったのが逆に恐ろしいです。なにしでかすつもりだ、兄ちゃんww 兄ちゃん、やられたら仕返し三倍どころじゃ済まないタイプ
だしなあ。今からミレーユの政略結婚企てた身の程知らずの末路が可哀想なのですがw
今回意外だったのがヴィルフリート王子ですか。ミレーユがフレッドじゃなくフレッドの妹だと知って恋愛模様がどうなるかと思ってたら……ダメだこの王子。典型的イイ人だ(苦笑
場の勢いでリヒャルトを追いかけようとするミレーユを助けておいてからに、あとで自分が何やってるのか自覚してへこむあたり、真性のイイ人だww
大丈夫、あんたならきっといい人みつかるよー