時載りリンネ! 3  ささやきのクローゼット (角川文庫―角川スニーカー文庫)

【時載りリンネ! 3.ささやきのクローゼット】 清野静/古夏からす スニーカー文庫


MARVELOUS

嗚呼、この清廉にして上品な文章によって紡がれたときめきと優しさの物語の余韻に浸る幸せよ。
それは至福にして恍惚。酷暑のさなかにすら不快の欠片も生み出さぬ胸のぬくもり。清涼にして心地よい心の風よ。
この清野先生の文調の素晴らしさは、ただ物語を刻むだけではなく、あとがきのわずか数ページの文章にすら、豊潤で情緒的な表現と伝播力を潤沢に込められていることからも、如実に体感できるだろう。
正直、ただのあとがきの文章にここまで魅了されてしまったのは初めてである。
畏敬の念を禁じえない。

少女リンネと少年久高の新たな冒険。魔法の扉を抜けた先にある彼らだけの秘密の場所。そこで出会った新しい友達との楽しい時間。
活き活きとした子供たちの溌剌とした躍動、慌ただしい息使いを首筋に感じ、笑い声が耳朶を通り過ぎていく。
自然と浮かんでくるほほ笑みは、自分でも柔らかだと自覚できる。胸にこみ上げるのは憧憬か、子供を見守る大人の使命感に促された充足の錯覚か。
照覧せよ。
子供たちが心に映す風景の眩しさを。曇りのなさを。広大さを。
退屈な毎日など、本当はどこにもありはしないのだ。心のままに、ありのままに、今を見、過去を映し、未来を臨めば、きっとそこは心躍る楽しさに満ち溢れている。
それはきっと、大人の自分にも見つけることができる心の在り様。
このシリーズを読むたびに、私は目を覚ます。
おはよう、そしてこんにちは。

それじゃあ、また明日。