銀色ふわり (電撃文庫 あ 13-23)

【銀色ふわり】 有沢まみず/笛 電撃文庫


嗚呼、これは間違いなく【インフィニティ・ゼロ】の系譜だ。
【いぬかみっ!】や【ラッキーチャンス!】とコメディが続いたため久しく忘れていたけど、この人の原点はここなんだよなあ。
いや、ここに原点があるからこそ【いぬかみっ!】や【ラッキーチャンス!】も底抜けに楽しい雰囲気の裏にひんやりとした暗闇が広がっていて、作品に深みを与えていたんだよなあ。

動くものひとつない無音の雪原にも似た冬の静かな絶望。ひとりぼっちの世界の中で、孤独に震える心を救うのはお互いの手の感触。握った手のひらから伝わる暖かさ。それは寄り添う身体の温もりであり、寄り添う心の優しさ。


黄昏のこどもたち。機会を通してしか人間には認識ができない新たな世代の子供たち。そして、彼らもまた機会を通してしか人間を、生きているもの動物・植物に至るまで認識することができない子供たち。
そんな黄昏のこどもたちの一人、イエスタデーと街頭ですれ違った少年春道は、機械を通さず彼女のことを普通の女の子のように認識することができ、それはイエスタデーからも同じで。
イエスタデーにとって、初めて生で存在を感じ、ふれあい、認識できる相手。
二人の出会いが紡ぎ出す、静かな終局に至る、でもきっと無駄ではない、これは優しい絶望の物語。
二人の歩く道のりを、さいごまで、見守っていきたいです。