さくらファミリア! (一迅社文庫 す 1-2)

【さくらファミリア!】 杉井光/ゆでそば 一迅社文庫


ちょ、まっ、そんな叙述トリックありか!? しかも掛けあいの流れの中の一発ネタで使い捨て!?
メタ的にかなり大がかりな仕掛けにもできるネタなのかもしれないのに、花粉症のウェットティッシュみたいに使い捨てやがった(笑

【神様のメモ帳】【さよならピアノソナタ】の杉井光の新境地。ドラマや映画で名演を見せる役者だと思ってたら、漫才師も兼任してましたってか?
実のところ、主人公にしてもヒロイン衆にしてもキャラクターとしての個性やインパクトは弱い方だと思うのだけど、そんな印象を印象として残さない怒涛の掛け合い、ボケと突っ込みの応酬、メタネタも辞さない大盤振る舞いのネタ振り販路。
いやいや、これそもそものストーリーの根底を担うネタが危険すぎてデンジャーでございますよ。と、細かい事を気にせず、波に乗ってしまいさえすれば、これは楽しいスチャラカライフ。中盤を過ぎて家族五人が揃って以降は、ヒロインどものボケに主人公のツッコミ、双方が切れ味をエスカレートさせていって、これかなり作者筆ノってたんじゃないでしょうか。こういう掛けあいベースの作品だと、キャラを掴んだらあとは書く方が変に考えなくても、際限なく勝手に漫才しはじめてくれるパターンは珍しくないですし。
それでも、やっぱり杉井光だと思わされるのは、こんなノリでもなんだかんだと急造家族の繋がり、情の絡まりみたいなものをちゃんと書いてくれているところ。おかげで、おバカなノリにも関わらず、雰囲気はほんのりと温かいまま最後まで転がっていく。これが意図せぬ無意識の結果だとすれば、杉井光という作家の本質が、この作品から垣間見えるのではないだろうか、なんてことも考えつつ、姦淫はだめなのに重婚はいいのか神様!?
なんだかんだと、後半一番ヒロインしてたのはるー子なんじゃないだろうか。というか、登場した時からヒロイン食ってる食ってる(笑
だが、よし。