ブラック・ラグーン シェイターネ・バーディ (ガガガ文庫 う 1-1)

【ブラック・ラグーン シェイターネ・バーディ】 虚淵玄/広江礼威 ガガガ文庫


ニンジャ! ニンジャすげえよ、ニンジャ!
もうなにはともあれニンジャである。なにこのネタキャラと思うなかれ。人間、過程は大事と言えど、到達した頂のあまりの高さを目の当たりにしたなら、もはやそこに至る過程を笑うことすらできず、むしろ敬意を覚えるだろう。人間の可能性に、感動すら覚えるかもしれない。
この男の真摯な想いを、嘲笑うことなかれ。

むちゃくちゃ笑ったけどな!!(大爆笑

いや、でも無茶くちゃカッコいいんですよ、ニンジャ。「ですだよ」姉ちゃんことシェンホアとの一対一の決闘のシーンなんか身震いしましたよ。
色々な意味で(笑

ある意味、ブラックラグーンに登場するに相応しいキャラと言うべきなんだろうか……レヴィたちは、腫れものを扱うような対応だったけど。なにしろニンジャだもんなあ(笑

一方で、バラライカの過去に絡む人物も登場し、彼らの物語の方はひたすらにハードボイルドを貫いて最後まで至る。
スペツナズの隊長だったころのバラライカは、今の悪の華とはまたまったく別の、でも表裏一体をなす魅力を備えた人物だったのだろう。
兵どもを魅了し、真摯さと眩しいくらいの信念を携えた太陽のような。
一人の堕ちた狙撃兵と、堕ちた地獄の女帝は、決定的にすれ違いながら最後まで魂を同じくしていたわけか。矛盾しているようだけど、変化したものと不変たるものが渦を巻き、結晶と化した結果がこの事件の結末だったのではないだろうか。

張大哥は、この小説でもこの人らしい愛嬌を感じさせる魅力たっぷりの大人物っぷりがこれでもかというくらいに発揮されてましたね。
この人って、このキャラクターだからめったなことでは死にそうにない不死身っぽさを漂わせてるわけですけど、逆にこのキャラクターだからこそあっさりと死んでしまいそうな危うさも併せ持ってて、そこがまた魅力なんだよなあ。
ラストの見事な演技と計略は、最高でした。ニンジャ、最後はどうなるかとかなり不安だったのですが、お見事。さすがは張大哥(笑


レヴィたちラグーン商会は、事件の中心に居ながら結局事態の真実からは枠の外に追いやられてた感あり。ですけど、レヴィとしては最初から最後までガンパレード状態で、銃身焼けちゃってたんじゃない? というくらいに撃ちまくってました。やっぱり、この女は策略だとか陰謀だとかからは背を向けた、ただ鉄火場の中で狂騒に身を任せて死と暴力を振りまく一個のガンスリンガーに徹するのが一番似合ってると思います。
いつもなら、その拳銃使いに撃つべき標的を示すのがロックなんですが、今回はこいつも首を突っ込む余地なかったですからね。
まあ、突っ込んだら突っ込んだでただじゃすまんのですけど。今回は物理的にも組織的にも、そして精神的にも突っ込めない領域でしたからね。

ブラックラグーンで虚淵玄、なんてこれ以上ないくらいにピッタリな組み合わせというのは最初から分かり切っていたことで、それゆえにハードル高くみられて大変だったと思うんですけど、まあこればっかりはお見事というほかなく。
広江礼威と虚淵玄、どっちかのファンなら必然のように読むべし、ってな仕上がりでした。
満足。