光炎のウィザード  愛は完全無欠 (角川ビーンズ文庫 42-15)

【光炎のウィザード 愛は完全無欠】 喜多みどり/宮城とおこ ビーンズ文庫


ちょ、兄ちゃん。兄ちゃん。念願かなっての妹との再会がそれって、無いだろう。無いでしょう。ヒドいよ(笑
戦争で家族と生き別れてからのリティーヤの悲惨な境遇と、どれだけ家族に会いたかったかの気持ちについてはこれまでも語られていたし、この巻では兄ちゃんの方もどれだけ行方知れずになったリティーヤを探し求めていたかが明らかになり、双方ともにどれだけ再会を願い、祈り、求めてきたか、わかるだけに。わかっているだけに……。
…… orz

この兄ちゃん、ダメだ。
いや、でも兄ちゃん確かにリティーヤの兄ちゃんだわ。天然に破天荒なことをやらかす爆弾娘リティーヤ嬢ですが、兄ちゃんもよく見てると行動パターンというか発想と言うか、条件反射の方向性が妹とベクトルおんなじジャンというところが多々見受けられて、なんか物凄く血の繋がりを感じさせられる。この分だと、姉ちゃんもおんなじなんだろうなあww

と、惚けた風情を醸し出してる兄妹ですが、それでも生き別れた兄妹の七年越しの再会なのです。感動的……とはでも一概には言い難い。七年という歳月は、否応なくリティーヤにも兄ちゃんにもそれぞれに置かれた立場、状況と言うものを作りだしてしまっている。二人とも、この七年間で最上の目的は家族との再会だったはずなのに、いざ事が成ったときそれでめでたしめでたし、というわけにいかないのが現実というものだったりするわけだ。
儘ならないものである。苦々しくも苦しいものである。
兄ちゃんの考え方は形骸にとらわれているともいえるけど、実際本人の立場からしたら、変節は厚顔無恥の所業そのものなんだろう。リティーヤを探すために他の家族を傷つけ、その挙句リティーヤの生存に絶望し家族であることすら捨ててしまい、再会なったリティーヤまでも傷つけて。

でも、そんな葛藤を乗り越えて、リティーヤに向き合った兄ちゃんの、それは讃えるべき勇気であり、誇るべき愛情なのだろう。
もっとも、リティーヤもまた家族を愛するが故に、兄ちゃんを拒絶せざるを得ない状況になるだけに、この作品、コメディタッチの風味なのにやたらと内実は過酷で容赦がなかったりする。事実だけ羅列すると、けっこうエグい話なんだよなあ、光炎って。ミカの正体やリティーヤとの友情にしたって、ヤムセとユローナの形容しがたいドロドロとした感情にしたって。
ただ、最終的には兄ちゃんにしてもリティーヤにしても、お互いを大切に思う心がすれ違うことなく、お互いを抱きとめることができたのは、とてもよかった。安心した。ホッとした。
お互いに、苦労に苦労を重ねた七年の結実が、決別だったら、それは悲劇であり惨劇でしかないものなあ。
とはいえ、リティーヤが置かれた状況と言うのは楽観できるものではなく、彼女が頼りにしている師匠ヤムセもまた、身辺が怪しくなってきているのも確か。
そして、遂にリティーヤがあの真相に辿り着きそうな……。

話も本筋にかなり切り込んできた模様なので、これからさらにクライマックスか。
役者も揃ってきたし……うむ、気合いを入れろ。