L 2  詐欺師フラットランドのおそらくは華麗なる伝説 (富士見ファンタジア文庫 は 1-1-2)

【L2 詐欺師フラットランドのおそらくは華麗なる伝説】 坂照鉄平/水城葵 富士見ファンタジア文庫


これは面白かった。第一巻で主人公のバーン・フラットランドとヒロインのアーティアのキャラの紹介、確立、関係性の構築が終わっていたためか、この第二巻では最初から二人の思わずニヤニヤしてしまうようなやり取りが見られたように、キャラがガシガシ動いてて、初速から飛ばしていけたのが良かったんだろうか。
なんにせよ、メインの二人が魅力的と言うのが一番大きな武器なんでしょうねえ。この主人公、ヘタレで小心者で口八丁の軽薄モノ。女性を口先でだまくらかして貢がせるのを生業としていた詐欺師まがいのろくでなし。というどうしようもない人間なんだけど、確かにどうにも愛嬌があって憎めないんですよね。口から先に生まれてきて、最初に発した言葉が大嘘みたいな出まかせとハッタリだけでできているような男のくせに、アーティアなる少女に生まれて初めて恋をしてしまったのが運のつき。彼女にだけはどうにも嘘がつけなくなって、出てくるのは精々相手をおちょくる軽口ぐらい。女性を落とすことに関しては百戦錬磨のくせに、彼女に対してだけは子供みたいな接し方しかできない辺りが、どうにも根本のところでこいつ純情青年みたいに見えて、妙に可愛らしいんですよんね。
小器用に世の中舐めて渡ってきた男が、アーティアのこととなると途端に不器用になって、泣きごとを喚きながらもひたすら愚直に頑張る男になってるわけで。
でも、その子供じみた愚直さが、今の彼の魅力そのものなんですよね。素直に、頑張れと応援したくなる。基本的にヘタレで三下で真面目さとはかけ離れた人間、というのもあるからなんだろうけど。そういう普段から逃げ腰のやつが肝心どころでグッと踏ん張って頑張ってしまう、しかもその理由が好きな女の子のため、となったらもうツボそのものだったりする。
そういう行動は、当事者であるヒロイン以外の人間にもやはり好ましく映るらしく、本来なら他人に好かれ周囲に人が集まるような性質の人間ではないにも関わらず、今回のバーンの周りには事件を通じて様々な人間が集まり、当初は反発、敵対しながらも、最終的には彼を助けることになる。
今の彼には、確かに人を惹きつけるものがあると思う。もっとも、率先して人を引っ張るようなカリスマ性とかではなく、見てると危なっかしくて情けな過ぎて、ついつい手助けしたくなるようなソレ、なんだろうけどww

アーティアも当初の人間種族に対しての敵愾心・警戒心丸出しだったころに比べて、非常に素直な目で人間たちや、その社会に接してて、この娘も変わったものです。前作で、初めての人間の友人となった女性から手酷い裏切りを受けて、ちょっとはまた人間に対する不信感を生じさせてるかとも思ったんですが、彼女との交友で育んだ柔らかい心は、裏切りと言う痛みを受け止めきったのでしょうか。それどころか、痛みが逆に彼女に成長を促した感すらある。
それだけに、今回のサブヒロインのフェイとの新たな友情には、なんだかホッとさせられました。彼女が選ぼうとしている竜徒と人間との関係が、決して間違いではないように思えるので。
バーンに対する恋心も、初々しくて実に可愛らしい。世間知らずで恋愛方面にはとんと幼くて、自分の気持ちを漠然と恋なのだと認識しながら、恋というものがどんなものかよくわかってなくて、湧き上がる感情の正体がなんだかさっぱり理解してなくて、戸惑ってる様子とか変に無防備に振る舞ったりするところとか、同性のフェイが思わず抱きしめてネコ可愛がりしたくなるのもよくわかるw
お母ちゃんの雪竜さん、なんか男性関係にトラウマがあるか知らんけど、娘さんを箱入りに育てすぎじゃないですか?(笑