境界線上のホライゾン 1上 (1) (電撃文庫 か 5-30 GENESISシリーズ)

【GENESISシリーズ 境界線上のホライゾン 1(上)】 川上稔/さとやす 電撃文庫


しょっぱなから513ページである。なんだ、AHEAD最終巻の半分じゃないか、と鼻で笑える人は相当の川上強者とみて間違いはないでしょう。
だが待ってほしい(某コラム風に)。かのリアル正方形文庫本AHEADシリーズですら、その第一巻のページ数は386ページでしかなかったのだ。
その事実を鑑みるならば、果たして今後このGENESISはいったいどこまで行くのだろう。恐ろしい話である。

中身の方も、ページ数に負けず劣らずぶっ飛んでいる。自重という言葉をあらゆる意味で遥か昔に置き去りにしてしまっている川上先生ではあるけれども、まさか序盤20ページ近くを設定資料につぎ込むとは思わなかったですよ。巻末に用語辞典が載ってる本は何度も見たことあるけど、巻頭に乗っけてるのは初めて見たさ(笑
だがしかし、AHEADはおろかCITYのCITYと銘打つ前のパンツァーシティの頃からの読者としては、既にこの程度のこと慣れ親しんでおるのであった。ファンとしては、むしろこのイカレ狂ったような設定群こそ、故郷であり桃源郷なのである。

AHEADの時代からEDGEの時代を経て、舞台はGENESISの時代。これは、閉塞の物語である。
神州は、重奏世界の崩壊により世界各国の侵攻を受け、暫定支配下に置かれ、極東の名を冠され、多くの自由を失っている。さらに、世界そのものが歴史をなぞる聖譜記述の失効によって、崩壊の危機がうたわれる末世を迎えている。
そんな閉塞を、だからこれは打破する物語なのだろう。
末世を救い、創生を導く鍵の名はホライゾン。過去に喪われたはずの少女。武蔵の人々に、葵・トーリという少年に深い深い後悔という傷を刻んで消えた少女。
この物語は、そんな消えたはずの少女と、少年の後悔を取り戻す物語。

とりあえず、P01−sの仕事着エプロンの裾がやたら短くて、インナーがパンツみたいに見えてエロいのは作者か絵師かどちらか知らないけど、意図的に詳細に設定したモノだというのは理解した。

さて、どうしたもんだろう。なんか、書いておきたいことが山ほどあって逆に書きにくいんですよね、相変わらず川上シリーズは。
なので、乱筆乱文上等で文章としては目も当てられない、読む人のことをまるで考えない垂れ流し的に適当に書くことにしましょう。

リアル・アマゾネス。先生である。高速戦闘型女教師。やっぱりリアル・アマゾネスでいいと思う。これって瀬戸の花嫁から? オリオトライ。変な名前だ。が、ネシンバラが榊原の改造名であるのと同じように、基となった姓があるのかもしれない。普段からジャージだそうだが、挿絵を見る限りこの世界観のジャージはえらいエロいな。ハイレグハイレグ。いきなり、主人公のトーリの乳揉みの被害者になってる。柔らかそうだ。

主人公のトーリはあれか? 少なくとも前半はトーリという名称よりも<全裸>で表記されてる割合の方が多いような気がするのは気のせいか? アホでエロゲが趣味の超無能。超絶無能小僧。でも、人望はあるらしいんですよね。人望というべきか、皆に好かれているというか。慕われているとは間違ってもいえないな。
最初は何にも考えてないような心底おバカなおバカキャラ(大事なので二回繰り返しました)に見えるんだけど、実際どうしようもないおバカで、救いようのないオバカなんですけど、でもホライゾンにまつわる過去と、P01−sへのスタンスを見せられては、ただの無能のおバカとはやっぱり思えない。不可能男のアーバンネームは、逆意を得られるのか否か。
バカは返上できないだろうけどな!
一番好きなシーンは、後悔通りをウロウロするところだろうか。というか、あの場面で好きなのはそんな弟の姿をじっと眺めてる姉ちゃんの方か。
トーリの姉ちゃん、葵・喜美。高圧、タカビー、身勝手、超わたくし様。頭のおかしい、トーリとはベクトルの違うようでわりと似たようなバカ。おバカ。しまった、この作品、おバカじゃない人が希少生物なので、おバカというのはあまり説明になってないことに気づいた。というか、思い出した。
意外なことに、この手のスペックの持ち主を、実姉系で見たことはあまりない。いや、あるのか? 
ただ、なんにしてもびっくりするくらい姉ちゃんなんですよね。弟を見守る姉ちゃん。賢姉と自称するのも伊達ではない。でも、変人である。
姉ちゃん好きだな、姉ちゃん。
浅間智はメインな弄られ役か。なにしろ、キャラ紹介分に、トーリ・喜美の幼馴染兼人生の被害者、と明言されてるくらいだし。
数少ないツッコミ役として貴重な役回りではあるか。エロゲ忍者もツッコミ役だけど、あれは可哀想な人だしなあ(笑

と、前半はキャラ紹介みたいな感じで馬鹿騒ぎな武蔵の学生生活が描かれるのだが、後半もクライマックスとなると一気にくすぶっていた事態が動き出す。というか、第一巻からぶっ飛んだ展開に!
まさに、閉塞された箱庭の横壁に、大穴をあけるような大爆発。若者たちに未来の在り処を指し示すのは、過去に座すオッサンども。
松平四天王 本多・忠勝の戦いは、体の底から痺れました。特にあのシーン。自動人形・鹿角が忠勝の首に腕を回すシーン。片手に神格武装<蜻蛉切り>、片腕に鹿角を抱いての東国無双最後の戦い。
悲壮感なく減らず口と悪口を叩きあいながらの敵との闘争は、自動人形・鹿角の引き継いだ魂の正体とも相まって、もうなんか泣きそうに。
無責任と言うなかれ。彼らは、若者たちに託したのだから。何事かを為せるだけの教材を配し、何事を為すかは残されたものたちが選ばせる。彼らが遺したのは可能性。そして、受け継ぐのは【不可能】の字名を冠するあの少年と、ホライゾン。
次からこそが、次代の、次世代GENESISたちの戦いの始まりか。

恐るべきことに、既に物語の最後までプロットは完成しているらしいから、きっと恐ろしい速度で刊行がなされるに違いないので、待たされるおそれはないだろう。なにしろ、次の巻はもう来月に出るんだからw